第八十二話「客人」
「ふうん、ここが箱石高校か。見るからに普通の学校って感じだな」
やや短めの髪でパンツスタイルのスーツ。
その女性は目的地を探して辺りを見渡す。
「格技場か。さて、どこにあるのやら」
「あの!どこに行きたいんですか?」
掃除当番を終え、部活に行く途中の真珠は後ろから声を掛けた。
「うん?ああ、格技場を探していてね。卓球部に用があるんだが」
「それならついて来て下さい!私、卓球部なので!」
「助かるよ。ちょうど卓球部員に出会えるとは運が良かった」
格技場は校舎の裏の方にある。
ほとんどの新入生は格技場の場所すら知らない。
「ところで、何の用事ですか?」
「ああ。先輩に少しばかり頼まれてね、詳しくは後で説明するとしよう」
そして格技場に到着した。
真珠に倣い、入口で靴を脱いで入る。
「お客さんでーす!」
真珠が元気に叫んだ。
しかし、誰も心当たりが無いようだった。
克磨が代表して話を聞きに来る。
「君が観空克磨君か。話は聞いているよ」
「えっと、どうも」
反応の薄さを客人は疑問に思う。
「、、、もしや何も聞かされていないのか?いや、先輩ならありうるか」
一人で納得して頷いた。
「失礼、ならば一から話すとしよう。部員は全員揃っているか?」
「これで全員です」
台の準備をしている春呼と紅。
更衣室から出てきたアイサと女乃。
キャットウォークの端に座ってくつろいでいる美翠。
真珠が最後だった。
「では一分後に集合させてくれ」
そう言うと、その女性は服を脱ぎ出した。
「ちょっ!?」
驚く克磨だったが、下にはトレーニングウェアを着ていた。
(何なんだこの人?)
真珠も着替えるために更衣室に飛び込む。
何とか一分以内に着替え終わった。
「集合!」
「紅、知ってるか?」
「えっと、分からないです」
春呼と紅も心当たりが無いようだった。
「揃ったようだな。では自己紹介からさせてもらおう」
前髪をかき上げて言った。
「私は皿井志織。天藤先輩に代わり、この卓球部を強くするために来た!」




