表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ピンポンパール  作者: 二重名々


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/117

第七十二話「不確定」

「セブン、ワン」


第二ゲーム、アイサはほぼミス無く得点を重ねていた。

圧倒的な防御力で、評理の攻撃を全て跳ね返している。

未だ脅威のままの『双連砲』も、第二ゲームでは一度も出ていない。


「このままだと非常に厳しいですねー」


譲侍が悩むように言った。


「完全に『双連砲』を封じられています。どうしたら『双連砲』を打たれないのか、バレちゃってますよ」


「先輩の『双連砲』に、そのような弱点があるのですか?」


人葉が尋ねる。

人葉は『双連砲』を、不可避の必殺技のように捉えていた。

実際、一発目さえ発動すればほぼ確実に得点出来る。


「残念ながらあるんですよ。まず『双連砲』というのは、一発目で相手の体勢を固定し、二発目でその体勢により生じる隙を突く技です」


「二発がセットになっているから、標の記者がそう名付けたんですよね?」


巫子の言うように、卓球の標の記者は技の特徴を盛り込んだ名付けを行う。

各都道府県の記者ごとにネーミングの特徴はあるが、無意味な名付け方はしない。

もちろん、『双連砲』も実際に技を見て名付けられた。


「そうです。ですが、厳密に言うと二発がセットになっている訳ではないんです。一発目を打つのにも条件があります。一発目で相手の体勢を決定するために、その一つ前の体勢も考慮しなくてはならないんですよ」


技として認識されているのは二発だが、実際には三発がセットになっている。


「お相手がその準備段階の一発を上手く返しているので、その次で体勢をなかなか決定出来ないんですよ」


アイサは『双連砲』の攻略法に気付いていた。




第一ゲームの終わり。

克磨の指示通りゲームを捨てた事により、無理してボールを追いかけず相手の観察に集中出来た。


(『双連砲』は相手の体勢を強制的に決める技、だと思う。もしそうなら、条件を満たすために何発か準備が要るはず)


アイサの思考は高速で回転する。

普段は思い悩み過ぎてしまうという欠点だが、その思考の速さは長所にもなる。


(打つ直前に少しだけ足をずらす。これで『双連砲』は封じられる)


隙が生まれる体勢にならないように、あえて自分で体勢を崩す。

足のずれは自分の返球が狂わない程度。

小さな変化だが、『双連砲』という繊細な技を崩すのには十分だ。


(『双連砲』以外は全部返せる。よし、流れに乗ったまま、一気にこのゲームを取る!)


評理の攻撃力は高いが、アイサの防御力が少しだけ勝っている。

その差は次第に積み重なり、広がっていく。




「マッチポイント」


ついにアイサのマッチポイント。

『双連砲』は打たせず、連続攻撃は凌ぎ切り、カットやアンチラバーによる返球で得点を重ねる。

完璧とも言えるゲーム展開だった。


(これが箱石の実力!やはり全国レベルの中でも上澄み!本当に色々学べます!)


評理は劣勢でありながらも、アイサや箱石と試合が出来る事の喜びを感じている。


「はっ」


準備の一発。

アイサはフォアのカットで返した。

右足はつま先を軸にほんの少しだけ内側に回転させる。

このように、わざわざ不要な動きを挟んで『双連砲』を封じておく。


(一発目!)


しかし、体勢は不確定。

普通にプレイしている中なら、多少相手の動きが変わっても『双連砲』の発動に問題は無い。

ただ、アイサのように狙って誤差を作り出されると上手くいかない。


(不発でも!)


技に入れなくても、攻撃自体は可能。

評理はフォアへの下回転をドライブで返す。


(『双連砲』じゃないなら、使える!)


アイサはラケットをバックハンド側に大きく引く。

ドライブによる上回転がかかったボールを、アンチラバーで切るようにして強く擦る。

ただのカットではない。

アンチラバーらしく回転をそのまま利用する訳でもない。


(『アウメント』!)


相手の回転を増幅させ、逆にして返す。

強い上回転は、その倍強い下回転になった。

かなり低く跳ねた球を評理がツッツく。


(越えないっ!?)


ボールはネットに横から勢い良くぶつかった。

下回転の球は打つと下に落ちる。

ネットを越えられないというのは、強い下回転の証拠。


「ゲームトゥファーレインさん、イレブン、ワン」


第二ゲームはアイサがその強さを見せつける形になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ