第五十九話「アグレッシブ」
ここまで箱石は三戦三勝。
普通の団体戦なら、この時点で箱石の勝ちが決まり残りの二戦は行わない。
だが、練習試合ならせっかくの機会を無くす必要は無い。
「ナイス勝利ー」
美翠が真珠に掌を向ける。
真珠は残り少ない体力を使って何とか掌を叩いた。
「紅もよく頑張ったね」
アイサにそう言われて、紅は一気に嬉しさが込み上げてきた。
「ありがとうございますっ!」
隅根の方では、人葉と巫子が申し訳なさそうにしていた。
「すみません。ゴールデンペアと呼ばれておきながら、このような不甲斐ない結果になってしまいました」
巫子も頭を下げる。
「いえいえ、むしろ大健闘ですよー。白雲さんは間違いなく今後全国トップクラスの存在になります。その白雲さんを相手にしてここまで戦えたのなら、発展途上のチームとしては百点ですよー」
隅根は練習試合と動画を最大限活用して強くなったチーム。
去年は全国大会出場も成し遂げた。
とは言え、まだまだ課題も多く、譲侍の言う通り発展途上にある。
「、、、はい」
「、、、精進します」
四試合目は、再びシングルス。
次に箱石が送り込むのは。
「女乃さん、頼んだ」
「はい。任せて下さい」
女乃は落ち着いた様子で台に向かう。
「三年の新田こもも!ブッ飛ばして行くわ!」
カメラに向かって決めゼリフを言ったのは、隅根の三年生、新田こもも。
見るからに活気に溢れ、アグレッシブなプレイを予想させる。
「よろしくお願いします」
「よろしくね!」
サーブはこももからになった。
「だっ!」
大振りな下回転サーブ。
女乃はツッツキで返す。
「ブッ千切る!」
こももはドライブで女乃のフォアを抜いた。
早速失点してしまったが、女乃は動揺しない。
「ワン、ラブ」
次のサーブも下回転。
女乃は短めにツッツいた。
「はっ!」
相手をネット際に寄せる。
そこで、女乃はドライブ。
前のめりになっていたこももは対応が遅れ、ボールをかなり浮かせてしまった。
(打たれるっ!)
女乃はタイミングをしっかり合わせて叩きつけた。
流石にこれは返せない。
「ワンオール」
「良いぞ女乃ーっ!」
同級生で、最も付き合いが多い春呼が声を張り上げて応援する。
女乃の表情も、春呼の声を聞いて少し和らいだように見えた。
(応えなくてはいけませんね)




