第四十三話「準備」
「ここかー」
箱石高校卓球部は、岐阜の隅根高校に足を踏み入れた。
「箱石高校の皆さん!ようこそいらっしゃいました!」
出迎えたのは前髪をカチューシャで上げた女子生徒。
動きや声の一つ一つが大きいのが特徴的だ。
「私は隅根高校の三年!道屋評理です!ここの卓球部のキャプテンをやらせてもらっています!」
「どうもー。部長の日野でーす」
ミチヤヒョウリは大きな手振りで体育館まで来客を案内する。
「ささ!こちらへ!」
練習試合を頻繁に行っているので、案内には慣れているようだ。
「皆さん!箱石高校の方々がいらっしゃいましたよ!」
「こんちわーっす!」
体育館では十数人が台などの準備を行っていた。
ただ、克磨は台以外に準備されていたものに注目した。
「カメラ?」
三脚に取り付けられたカメラは台の方を向いている。
「はい!私達は練習や試合の際、撮影を行っているんです!動画に残し、後から見返しています!」
別の部員が紙を持ってきた。
「もちろん、撮影した動画や選手の情報は外部には公開しません!また、編集した動画も後日お送りさせていただきます!もし撮影の許可をいただけるならこちらにサインをお願いします!」
克磨は少し考えた。
「外部に公開しないって事なら、撮影しても大丈夫です」
克磨は内容にざっと目を通してからサインした。
それを聞いた評理は明るく笑った。
「ありがとうございますっ!」
準備を済ませた真珠は、シューズと床の相性を確かめる。
床の感覚は会場によって微妙に違う事もあるので、きちんと慣らしておいた方が良い。
「団体戦のオーダーはもう決まってる。まずは、一試合目」
一試合目は全体の流れを決める重要な役割。
それを任せるのは。
「美翠さん」




