第四十二話「遊び場」
「女乃、今日って委員会の集まりで全部活休みだろ?どこ遊びに行く?」
「私、美化委員ですし遊べませんよ?」
「え、そうなのか!?」
久しぶりの休み、春呼は女乃と遊びに行くつもりだったのだが、その計画は実行に移されなかった。
「そもそも遊びに行くつもりだったのなら事前に言っておいて下さい」
「うぅ、、、それもそうだな」
突然暇になってしまった春呼を見かねた女乃はため息をつきながらも案を出す。
「それなら委員会に入っていない人を誘ってみるのはどうですか?部活も無いんですし、予定が空いている人も多いでしょう」
「そっか!サンキュー女乃!」
春呼は走って教室から出ていった。
「家でゆっくりするという考えは無いんですかね」
「暇人はこの二人だけかー」
「卓球以外にやる事無いので!」
真珠は何故か自信満々だ。
集まったメンバーは、春呼、真珠、克磨の三人。
「というか友達とかいなかったのか?」
克磨は先輩相手にも容赦無くに言う。
「言っただろ?暇人はお前ら二人とアタシだけ」
克磨は苦笑いする。
「それで、どこで遊ぶんですか?」
「遊ぶならやっぱりここだろ!」
着替えてから再集合した三人が来ていたのは駅ビル内のゲームセンター。
高校生が行ける範囲にある遊び場はそう多くない。
「まずはクレーンゲームコーナーを一周!」
三人は菓子が積み上げられた筐体を発見した。
「おおー!」
真珠は早速百円を投入し、狙う場所を見定める。
「もうちょっと奥!もうちょっと!そこ!」
「良さそう!」
降下していくアームの位置を見て真珠は勝ちを確信する。
「「掴んだ!」」
この時、克磨はあまり期待していなかった。
「「ああ、、、」」
真珠と春呼は揃って落胆の声を漏らした。
アームは箱の側面を撫でただけだった。
「何百円じゃ取れないように出来てるんだよ、そういうのは」
諦めて次のゲームを探しに行く事にした。
「よし、これやろう!」
春呼が指さしたのはリズムゲーム。
手と足を使って、リズムに合わせて音符を叩いていくゲームだ。
「春呼さん、やった事あるのか?」
「いや、一回も。でも一番難しいモードでやるけどな!」
無謀とも言えるが、春呼はやる気だ。
「速っ!?」
「流石に無理だろ、、、」
案の定スコアはかなり低かった。
いくら春呼がスピードに自信があると言っても、基礎が出来ていなければ高スコアは狙えない。
「次だ次!」
「もっと出来そうなのにした方が良いと思うぞ?」
ゲームセンター内を歩き回り、春呼は次のゲームを決定した。
「これだ!これやろう!」
「エアホッケーか」
春呼がエアホッケーに目をつけた理由は一つ。
「これって卓球に似てないか?」
「確かに、結構近いかもな」
「そうだ克磨。克磨もエアホッケーなら出来るんじゃない?やってみてよ」
真珠が提案する。
「あー、あんまり期待するなよ?やるだけやってみるけど」
克磨はコインを入れて台越しに春呼と向かい合う。
「よっ!」
春呼は射出されたパックを軽く弾いて打つ。
「とっ」
克磨も何とか返す。
「そうそう、出来てるよ!」
普段は真珠がプレイし、克磨が指導するのだが、今はその逆だ。
「そろそろ速くするぞー!」
春呼はラリーの速度を上げる。
「だっ」
春呼の打ったパックは克磨のガードを通り抜けてゴールに入った。
「壁に跳ね返る角度をよく見て!」
「あ、ああ。分かってるけど」
克磨はどうしてもパックのスピードに対応出来ない。
「はぁ、はぁ。やっぱりか」
克磨は息を切らしながらゲーム結果を見る。
大差で春呼に敗北している。
「おいおい、体力無さすぎじゃね?」
「うーん、克磨は咄嗟の判断が苦手なのかも。どうしたら良いか迷って無駄な動きをしちゃうから体力を消耗してるんだと思う」
克磨は真珠のその言葉を聞いて目を丸くする。
「確かに、言われてみればそうかもしれない。、、、真珠って思ったより本能だけで動くタイプじゃないのか?」
「なっ!?これまでは本能だけで動いてると思ってたの!?」
真珠は遠回しに褒められている事に気付かない。
「ははは!真珠、克磨に手本を見せてやれよ!」
「そうします!克磨!私の賢いプレイを見てて!」
真珠は克磨と交代し、百円玉を入れた。
「ああ」
射出されたパックを目にも止まらぬ速度で打つ。
春呼も壁の反射を使いながら素早く返す。
ラリーはさらに加速していき、甲高い音が目覚まし時計のように鳴り響く。
「、、、これのどこが賢いプレイなんだ?」
克磨は、真珠の本質はやはり本能型である事を再確認した。




