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第三十七話「宝城」
「ねーいことん、標見たー?」
「うん。愛知にすごい一年がいるって」
「そ。一年生だけの大会で圧勝。世界一を目指してるんだってー。目標が高くてすごいねー」
宝城高校の三年生、宇月愛那は大きなクリームパンを食べながら言った。
「私達よりも強いと思う?」
魚谷伊琴は愛那に尋ねる。
これは疑問と言うより確認に近い。
「流石にそんな事無いと思うよー」
「だよね」
予想通りの答えが返ってきて安心したのか、伊琴は微笑んだ。
「それに、うちの一年はもっとすごい」
「うん」
「こら!また脱ぎっぱなしにして!」
「そうだっけー!」
「もう、、、仕方ないわね、、、」
脱ぎ散らかされた制服を丁寧に畳んでいく。
船見命愛は足首を回しながら言う。
「真依先輩は何だかんだ甘いですね?お母さんみたいですっ」
「私の娘ならあんな野生児にはなってないわ」
卓球部部長の糸波真依は断言する。
「あは、そうですね」
「瑠璃夏ちゃん!打と!」
「はい!」
体力を使い果たした三年生に代わり、二年生の岸瑠璃夏が台に入る。
「自由奔放であんまり賢いとは言えないけど、卓球の実力だけは本物なのよね、、、」
宝城高校の一年生、潮戸朝来。
入部して一週間で上級生全員に勝利した超大型新人だ。




