第三十五話「貫く」
(ドライブ以外が弱くなった訳じゃない。じゃあどうすれば良いのよ)
凛子は絶望を前にして途方に暮れる。
『槍貫』が打たれると得点される。
『槍貫』無しでも十分過ぎるくらい強い。
今の凛子に出来るのは真珠の打球にその場限りの対処をする事だけ。
「『槍貫』は抑止力になる。『槍貫』を避けるための極端なコースはミスしやすいし、真珠から軌道も読みやすい」
「真珠の攻撃力を活かせるんだね」
攻撃をもって攻撃をさらに強化する。
この強引な理論も真珠なら実現出来る。
「ワン、シックス」
横回転を混ぜたバックのツッツキでネットにかかった。
「エイト、ワン」
ミドルへの短い球をバック面を使ってバック側に流された。
「マッチポイント」
あっという間に真珠のマッチポイント。
あと一点決めればこの試合が終わる。
「真珠ーっ!あと一点決め切れーっ!」
克磨の声を聞いて真珠は改めて集中のスイッチを入れる。
勝ちが確定しつつあっても、手は抜かない。
最後まで全力、徹底的に叩き潰す。
(上!)
この土壇場で勝負のロングサーブ。
一歩間違えれば即強打。
凛子は安全策を取らずに最後まで足掻く。
真珠はこのロングサーブを切るように擦る。
(カット!?)
上回転を下回転にして返された事で、打ち合いの体勢に入ろうとしていた凛子のタイミングはずれてしまう。
「だあっ!」
伸びようとしていた膝を気力で曲げ直し、回り込んでドライブを放つ。
(まず)
打った直後に凛子は気付く。
このドライブが真珠の身体の近くに向かって飛んでいくという事に。
「はあああっ!」
『槍貫』が凛子のフォアを貫く。
反応しようと考えた時には既に遅かった。
「やっぱり、別次元の存在ね、、、」
「ゲームアンドマッチ!トゥ白雲!」
「よし!」
「やった!」
終わってみれば、真珠の圧勝だった。




