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ピンポンパール  作者: 二重名々


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第二十五話「天災」

(六対五。一応リードしてるけど、油断は出来ない)


紅はあと五点取ればこの試合に勝てるという事になる。

短めの下回転サーブを相手のフォアに放つ。

相手はツッツキでバックに。

紅は、相手の長くも短くもない中途半端なツッツキを相手のミドルに返す。


「あ」


相手は身体のすぐ近くのボールをフットワークせずに取ろうとしたために球が浮いてしまった。


「たぁっ!」


浮いた球を見逃さず、スマッシュで相手のバック側に叩き込む。


「良いぞ紅ーっ!」


応援は選手のメンタルにも作用する。

実際、克磨の応援によって紅は安心感を持ってプレイ出来ていた。




(行けるっ!)


弱い下回転をドライブで返す。

強烈な上回転によって、ボールが相手のラケットに触れた瞬間上に逃げていった。


「ゲームアンドマッチトゥ七星」


「ありがとうございました!」


「ありがとうございました」


真珠は、紅の事を七星と呼ぶのにむず痒さを感じながらも審判として私情を排除するようにアナウンスした。

両選手は軽く握手をする。


「真珠!やった!私勝てたよ!」


「初勝利おめでとう紅ちゃん!」


二人はハイタッチして喜び合う。


「紅、先に結果報告だ」


「あ、そうだった」


勝者である紅は結果を紙に記入し、体育館の舞台の上にある本部へ持っていった。




「ゲームアンドマッチトゥ白雲」


「ありがとうございましたー」


真珠は二回戦まで無失点、完全勝利を続けていた。

真珠と当たった初心者は天災に見舞われたと思うしか無いだろう。


「二人とも三回戦進出か。真珠はともかく、紅も良い所まで来たな」


女子の参加者は五十六人。

三回戦、準決勝、決勝と、あと三回勝てば優勝だ。


「うん。このまま勝てると良いんだけど、そんなに上手くはいかないかな、、、」


紅はこの先が一筋縄でいかないという事を分かっているようだ。

いくら紅の学習能力が高くても、小中と卓球をやってきた相手に簡単に勝利する事は出来ない。

そして今勝ち残っているのはそういった経験者ばかりなのだ。


「今の実力を出し切って、現在地を知る。今日の所はそれで良い」


「分かった。やれるだけやってみるね」


克磨は結果報告を終えて戻ってきた真珠に言った。


「真珠、優勝出来るな?」


「もちろん」


真珠は不敵に笑う。

新人強化大会での優勝は必要絶対条件。

卓球で世界一になるという夢に至るまでの、数ある通過点の一つ。


「交わす言葉の少なさから分かる絶対的な信頼!素晴らしい!」


克磨の背後から興奮した声が飛んできた。


「克磨、さっきから思ってたんだけどこの人は?」


「ああ、週刊学生スポーツの」


「週刊学生スポーツ卓球の標、記者の吹田晶保と申します!取材の一貫で観空さんからお話を伺っていたのですよ!」


「わ、卓球の標!いつも読んでます!」


学生スポーツ専門誌の卓球担当部、卓球の標。

熱意、更新頻度、そして独特な言い回しで人気を博している。

週刊学生スポーツはインターネット上でも記事を閲覧する事が出来るので手軽で読みやすい。


「ありがとうございます!今日の優勝者は記事にするつもりですので、是非とも優勝なさって下さい!」


「私が標の記事に、、、切り抜いて取っておかなくちゃ!」


「真珠、、、もう優勝した気になってる、、、」

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