表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ピンポンパール  作者: 二重名々


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/118

第十九話「抗議」

時はあっという間に流れ、五月に突入。

克磨と紅に課せられた、二週間であらゆる技術をマスターするという課題の期限がやってきた。


「じゃあ克磨。紅がどれだけ成長したか教えてくれる?」


アイサは台を挟んで立つ。

紅は比較的落ち着いた様子でラケットを構える。


「はい。紅、まずはサーブ三種類からだ」


「うん」


紅は速い上回転のサーブを成功させる。


「低く速く打てるようになったみたいだね」


続いて下回転のサーブ。

アイサがラケットを軽く当てると、ボールが下にすとんと落ちた。


「回転もかかってる」


最後は、ラケットで横に擦るようなサーブ。

左利きの紅の場合、同じフォームでも回転は右利きの逆になる。


「へぇ、横回転も出来るんだ。すごいじゃない」


「ありがとうございます!」


紅は嬉しそうだったが、克磨はまだ満足していない。


「次はレシーブを見せます。サーブお願いしても良いですか。コースも回転もお任せで」


「分かった」


初球はフォアに長めの上回転。

卓球における長い、短いとは、ネットからの距離。

長い球はネットから遠く、身体に近い。

滞空時間の長さと言い換える事も出来る。


「ストレート」


克磨の言葉に反応し、真っ直ぐ強打で打ち返す。

アイサはそれをカットでクロスに返した。

カットとは、後ろに下がって下回転で返す技術。

守備的な打法だ。


「ツッツキ」


台の上で、下回転を下回転で返すのはツッツキ。

ラケットを寝かせ、突くような動きでボールの下側を擦るのだ。

ツッツキで短くネット際に返した。


「うん、ちゃんと出来てるね」


アイサはツッツキで長めに返す。

紅はフットワークで最適な位置に素早く移動する。


「ドライブ!」


素早く移動した分、ドライブの溜めの時間をしっかり取れた。


「はあっ!」


強い上回転がかかったドライブがアイサのバックを跳ねる。

アイサは追わない。


「よし、ちゃんと出来たな」


克磨は紅の仕上がりに安堵する。


「マジで二週間で全部出来るようになったのか!?半年以上かかるよな普通?」


「ええ。しかもどれも完成度が高いです。一年生とは思えませんね」


春呼と女乃が紅の成長に驚く。

紅は褒められて嬉しそうだ。


「か、克磨くんのおかげです!教え方がとっても上手くて、どうしたら良いか何でも分かっていて、コーチに向いていると思います!」


紅は、克磨が正式なコーチとして認められるように太鼓判を押した。

お世辞ではなく、紅が感じたそのままの本心だ。


「克磨くん」


少し離れた場所から見守っていた美翠が近づいてきた。


「合格!」


至近距離で大きな声を出された克磨は驚いて一歩後ろに下がった。


「紅ちゃんの才能を活かして育てたのは君の実力だよ。是非ともその指導力をわたし達にも向けてもらいたいねー」


「やったね!克磨くん!」


紅は克磨の肩を掴んで飛び跳ねる。


「あ、ああ。、、、オレの指導は厳しいですよ。もう初心者はいませんからね、手加減無しです」


(今までの指導って手加減されてたの、、、)


紅はまだ見ぬ克磨の本気の指導に恐ろしさすら覚える。




「はいしゅーごー」


美翠の号令で部員が集合する。


「正式なコーチになった克磨くんからこれからの指導についてお話してもらおーか」


克磨は一歩前に出る。


「これから指導するに当たって、知っておいてほしい事がいくつか。まず、あんまり敬語は使わない。使い分けが面倒だし、そこに思考回路は使いたくないから」


「生意気じゃないですかー?」


真珠が抗議する。


「必要な事だけ簡潔に伝える方が指導される側も楽だ。別に先輩達へのリスペクトが無い訳じゃない。良いか?」


「まぁ、そういう事なら」


「アイサさんが言うなら別に良いけど、、、」


アイサが了承する。

他の者も納得したようだ。


「次に、全員のプレイスタイルを把握するために、個別でミーティングをする。ラケットとラバーもその時一緒に見る」


選手の事を知らなければ、指導は出来ない。


「最後に、練習メニューは全部オレが管理する。以上、何か質問は?」


真珠が手を挙げた。


「はい!」


「真珠」


「早く卓球したいです!」


「質問じゃねぇ、、、」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ