第百五話「握手」
「あの!私、千華選手の大ファンで、蘭華さんにもお会いしたかったんです!その、、、握手お願いしても、、、良いですか?」
「わぁっ!ありがとう!これからもお姉ちゃんの応援よろしくね!」
女乃が蘭華と握手をする。
箱石から見れば分かりやすい演技だ。
「私の事は応援しちゃダメだよ?これから敵同士になるかもしれないんだからね」
「はいっ!試合する事になったらよろしくお願いします!」
女乃は真っ直ぐ健気な少女を演じた。
好印象を与えるにはシンプルに良い人を演じるのが早い。
「じゃあまた後でねー!きゅるりん!」
嵐のように去っていった蘭華。
お話したかったという割にはあっさり帰っていった。
「女乃先輩、何をしてたんですか?」
「ちょっとした布石を打っておいただけですよ。ね、克磨」
「ああ。上手く行けば良いんだけど」
箱石と別れ、昼砂に戻る途中の蘭華。
笑顔は崩さずに、思う。
(ファンレターか?)
女乃の手を握った時、小さな紙を掌の中に仕込まれた。
他の誰にも悟られないように内容を確認してみる。
(、、、ハッ。最強が先陣を切る、ねェ)
書かれていたのは、最強が先陣を切るという言葉だけ。
わざわざこうして渡してきたという事は、何か意味があるのだろう。
(何企んでるか知らねェが乗ってやるよ。戦う事になれば、だけどな)
「昼砂と当たるのは決勝だな」
「お互いが勝ち残っていればね」
「それなら余裕だな!」
対戦の組み合わせが発表された。
箱石の一回戦は比較的早めに行われるようだ。
「まずはぱぱぱぱぱぱっと決勝まで勝つよ!頑張ろうね紅ちゃん!」
(ぱが多い、、、)
紅は緊張していたが、真珠の言葉で安心を得られた。
「ふふっ。うん!私だってちょっとは強くなった。真珠に負けないくらい活躍してみせるから!」
自分の言葉で自分を奮い立たせた。




