第百四話「接触」
「何となくお茶の匂いを感じる」
「気のせいじゃねー?」
北守知結は特に検証もせずに否定した。
稀代の方も肯定してほしかった訳ではないので、ただ会話が流れただけだ。
「会場はここから十分くらい歩いたところなんだって。迷子になっちゃダメだからねっ!」
ウィンクをしてかわいらしいポーズを取る蘭華。
大抵の動作に決めポーズを付随させるのが金城千華を真似るコツだ。
「おおぅ」
「おっきいねぇ」
日奈乃と魅月は大きな体育館を見て唸る。
昼砂の体育館も大きい方だが、やはり総合体育館とは差がある。
中部地区の猛者が静岡に集まるため、これくらいのサイズが必要になるのだ。
「はい!夜は餃子が良いと思います!」
「いくつか良さそうな店は調べました。餃子以外にも鰻やおでんなどもありますよ」
「緊張感が無いんだから、、、」
アイサはいつものようにため息を吐いた。
「あれって、確か愛知の」
佳耶が箱石の面々を見て思い出す。
過去に何度か大会で見かけた日野美翠やアイサ・ファーレインがいる。
特にアイサの金色の髪は印象に残りやすい。
「きゅるるーん!箱石の皆さんこんにちは!」
「蘭華!?」
佳耶が一瞬目を離した隙に、蘭華が箱石と接触していた。
「なっ、金城蘭華!?」
「嬉しい!知ってくれてるの!?」
驚く克磨の手を握り跳ねる。
克磨は勢いに押されて次のアクションに移れない。
「ふーん」
真珠が克磨の様子を見て冷たい視線を送る。
「それで、何か用?」
アイサが蘭華を引き離す。
「たまたま見かけたからお話したかっただけだよ?それと、ついでに宣戦布告も」
蘭華はかわいらしい、そして得体の知れない笑みを浮かべて言った。
「今年の昼砂は強いよ。覚悟しててね」




