総帥閣下と第二の戦い
ユスティアが、驚いたように尋ねる。
俺は、何も答えずに外へ出る。そしてそのまま軍議が行われるという大会議室へと向かう。ユスティアは間違いなく黒に近い。私を殺した女、リースとの会話は明らかに何かを知っていた。
大会議室の前に辿り着くと、先程と違い、まだ人はまばらだった。
そこには三人の男女が立っていた。
1人目は、白髪の老人。軍服に勲章をこれでもかというほどつけている。先程、私の策を質問した目つきの鋭い老将だ。
2人目は、赤髪の背の高い男。会議のときはあまり目立っていなかったな。おそらく少将クラスだろう。なかなかハンサムだ。そして3人目は、見間違えることはない。先程俺を殺したツインテールの女リースだった。
3人は俺に気づくと驚いた顔をしつつ、敬礼し、こちらに近づいてきた。
「これは、総帥閣下。お元気そうでなによりです」
老将が言う。
「アイル様、お誕生日おめでとうございます。」リースは深々とお辞儀をする。
「あなたが私の命を狙っている…と風のうわさで聞いたので、少々おはなしをしようかと思ったのです。リース」
「お言葉ですが、私、アイル様の命を狙ったことなどございません。それはこれからも同じです。この命はアイル様のために」
ユスティアが即答する。
「ふふ、冗談です。リースならそう答えて私を安心させてくれると信じていました。ごめんなさいね。」
私は笑顔でリースの手を取る
先程の発言でリースは一切の動揺を見せない。こいつは、やり手だ。
そういえばリースは一回目のループの時は会議に参加していなかった
「リースはこの後、会議に参加するのですか?」
「勿論です、と申したいところでございますが、この後すぐに最前線の視察に向かいます。何事もなければ、夕刻には帰還し、アイル様のお誕生会に列席させていただきたく思います。」
「わかりました。視察がんばってくださいね。」
「ええ、それでは失礼いたします。」
そういうと彼女は、颯爽と大会議室から出ていった。
「ステータス」今こそ第2のスキル観察眼を使うときだ。リースのステータスが表示される。それは戦略ゲームの将軍ステータようなものだった。
リース・ヴァーグナー
性別:女
身長:160cm
年齢:20歳
階級:ドイル帝国近衛隊小将
スキル:指揮、軍略、魅了、魅惑
「総帥、どうされましたか」
老将軍が尋ねる。
「なんでもない。」
観察眼スキルでわかるのはこんなものか…あのダ女神め…
老将と赤髪の将軍に観察眼を使ってみたところ老将は
ヘルマン・ヴァーグナー
性別:男
身長:166cm
年齢:71歳
階級:、陸軍元帥
スキル:戦略、指導
赤髪の将軍はニコラス・ライツ
性別:男
身長:185cm
年齢:30歳
階級:、陸軍准将
スキル:指揮、射撃、忠誠
……ふむふむ
私は訪ねてみる
「ヘルマンとニコラスはリースとは、どういう関係なのですか」
「アイル様、リースは私の孫です。」
ヘルマンが答える。なるほど孫かそういえば苗字が一緒だ。……リースのバリバリの関係者だな。
「アイル様、私はリース殿と初対面なのですが、ヘルマン閣下が、その実は私に……」
ニコラスという男は少しオドオドしながら下を向く。
ヘルマンが笑いながら私に耳打ちする
「ほっほっほっ、アイル様、失礼致します。ここだけの話ですが、このニコラスは、私の部下の中で、もっとも勇敢で忠誠心の高い強者です。ですので孫娘のリースと婚約させたいのですが、リースは縁談の話をしても嫌がるのでこうして自然に近づけてですな……」
「閣下、私は、リース殿との縁談など……私はこれまで、その女性関係はからっきしでございまして…」
ニコラスが頬を赤らめながら言う。これは…この老将完全に面白がってるな