総帥閣下と訪問者
「アイル総帥…その本日は、いつもとご様子が違っておりますね?」
ユスティアは、不思議そうに尋ねる。
「私……何か変ですかね?」
私は、尋ねてみる。
「いえ、なんというか普段は、もっとこうその…大変申し上げにくいのですが…いえ…なんでもございません。」
ユスティアは、とても言いづらそうにしている。私が、一体なんだというのだ……私は、急に不安になる。
「その……なんというか、我々の命運はアイル総帥にかかっておりますので、頼りにしてますよ」
ユスティアはそう言ってにこりと笑ったが目は虚ろ虚ろだ。まあ、こんな戦況を聞かされたらこうなるのもやむなしだろう。
私は、少し休むと言い自分の寝室に戻った。
「ふぅ、疲れたな」
私は、寝室で一人ため息をつく。あぁ、なんか喉乾いてきたなぁ……でもこんなとこに俺の好きなエナジードリンクとかないしな……飲みたいなぁ。 軍服のままベッドに寝転がっていると、部屋の外から微かに話声が聞こえてくる。
ユスティアが、誰かと話しているようだ。
「たしかにご命令の通りに…」
「ふむ…悪運が強い。しかし、こうなっては仕方がない、国家のためだ、強硬策にでる。」
「しかし、そのリース閣下! そのお待ちを…」
「君は私に従っていればいい。これで救われる」
「…」
リース?どこかで聞いたことのある名前だ。
コンコン
「総帥、リースです。失礼いたします」
扉から現れたのは、金髪をツインテールに纏めた綺麗な女だった。とても若いが先程の将軍たちと同じ高級将校の服装だ。
「アイル総帥閣下、お誕生日おめでとうございます。体調はいかがですか」
「はい?いや、疲れましたが、特には…」
「そうですか、それはよかった。実は私先程まで前線にいたのですが、とんぼ返りですぐ戻らねばなりません。
ですが、総帥のお祝いにと思って急ぎ馳せ参じました。
そういうと彼女は、ベッドの横に立ち、プレゼントの包を解く、だが中から出てきたのは小さな暗殺用のピストルだった。
「なっ、どういうことですか?リース」
私は突然のことに面食らう
リースはベッドにおいてあった枕を掴み私の胸元に当てた。そして素早い動作で枕の上からピストルを突きつける。
「総帥、残念です。死んで下さい」