美少女総帥にTS転生したようです。
俺の名は吉田航太、N県S市の団体職員で実家ぐらしの独身の32歳童貞だ。趣味は戦略ゲームとソシャゲとプラモ…あとは漫画とかかな。おっと俺のことは覚えなくていい。なぜなら俺は目を覚ましたら金髪美少女に変身していたからだ!
ドゴォォォン、ドゴォォォン、聞き慣れない轟音と振動でベッドが軋む。
何だ何だ!? 今日は土曜日だろ!隣の家が朝から解体工事でも始めたのか? あー最悪の目覚めだな!
「あー、うるさいなぁ! もう! かあさーんこの音何ぃー?」
何も返事はない。だが俺は一つ違和感を感じていた。まぁ、まだ寝ぼけているのだろう。もう一度叫ぶ
「かぁさーん」
そしてその瞬間俺は完全に覚醒した。
「あ、あ、あ」
声が変なのだ。変という表現には些か語弊がある。風邪を引いたり喉が痛くて声がでないというわけではない。それは女の声だった。しかも少女の。俺の好きな声優。田中ゆかながアニメで魔法少女ミラクル★ゆずはの役をやった時の声にも似た、かわいくて、ちょっと甘ったるい声だった。
俺は完全にベッドから起き上がる。部屋は、真っ暗だった。普段なら破れたカーテンの隙間から、太陽光が部屋に差し込んでいるものだし、結構な確率でゲーム機やPCの明かりがチカチカしているが、ここは真っ暗だ。しかも外?からは相変わらず、ドゴォォォン、ドゴォォォン、という轟音と振動が鳴り響く。
これはただごとではない。まずは部屋の明かりを…そう思った矢先、部屋の扉がコンコンと叩かれる
「あ、母さん何が起きて…」
「し、失礼いたします」
それは、30数年聞き慣れた母の声ではなく知らない女の声だった。
そして声の主は部屋の電気をつけた。それは銀色の髪で後ろに髪をドーナツ?みたいに編み込んだ軍服にタイトなスカートを着た女性だった?
「え…コ、コスプレイヤー??」
女性は不思議そうな顔をして俺に近づきこういった。
「おはようございます。アイル・ヒュルデ総帥閣下。本日4月20日でございます。そして、16歳のお誕生日おめでとうございます。ご体調はいかがですか?」
「へっ?」
アイル総帥って誰だよ? 16歳の誕生日?? 俺の誕生日は先月の3月20日だから違うぞ。
「えっと、あのどちら様ですか??それコスプレ??それに総帥ってなんすか??なんかそのピーなお店から派遣されるデリなんたらてきなですかね…シャチョさんてきな…」
残念ながら俺には美女レイヤーの友達はいない。キリッ
もし違かったら誘拐犯とか強盗になっちゃうかも?
銀髪の女性は困惑する様子もなく淡々と答える。
「はい、ここは貴方のお部屋ですアイル閣下。私は帝国陸軍近衛師団 中尉 ユスティア・ルーベ。貴方様の秘書官を務めさせて頂いております」
ていこくぐん?このえしだん??ちゅうい?なんだそりゃ。
いや、戦争映画やゲームが好きな俺はもちろん言葉の意味自体は理解できるが、平和な日本でそんな言葉を喋るのは、一部のオタクと国防に携わるの方々くらいではなかろうか??
あ、やっぱりそういう仕事を依頼されてる人だ。だってこんな軍服?きた美人さんが寝起きの俺を強襲するなんてことは常識的に考えて論外だ。
「あのーすいません。なんか友達の依頼でドッキリとかですよね。童貞ミリオタに寝起きドッキリしてみた…みたいな」
ユスティニアと名乗る女性は、少し困った顔をしながら言った。
「いえ、ドッキリではありません。貴方は我がドイル帝国の総帥であらせられます。それと、殿下は童貞…と仰られますが、私が知る限りでは貴方様は女性なので性行為をしたことがないという表現であれば処女が相応しいかと。」
「何言ってるんですか!俺は男ですから童貞です!」
一体何を張り合っているのかわからないおバカな言い争いだが、そう言ってベッドの上に立ち上がった俺はユスティアが指差した壁に嵌められた鏡を見て絶句した。
「あああ!何じゃこりゃあぁあ!!」
そこにはお腹ほどまでの長さのある金髪のロングヘアと、白いワンピース型のパジャマを着た美少女がいた。
背は中学生くらい、ちなみに胸はあんまりなかった