雪の降る夜、君を待つ。
待ちたいから待ってるだけ。
泣きたいから泣き叫ぶだけ。
辛いから心が壊れてしまうだけ。
それでも生きていたいと願うから生きているだけ。
生きていくだけ。
「明日には君は来るんだろうか。」
そんなこと思いながら私は雪降る人混みの中、街灯の下で来るべき運命を待った。
こうやってみるとここっていろんなお店あるんだなぁって久しぶりに女の子みたいな感想を抱いた。ケーキ屋さんにお花屋さん。アクセサリー屋さんかな?それに服屋さん。
全部君に今日あげたかったし、欲を言うなら貰いたかったものばっかだ。まぁ、まだ8時ちょっとだし、もう少しだけ。うん、もう少しだけ。
見渡すといつもの街も今日はなぜか違うように見えた。ひとつだけ何か足りないとしたらそれは───。ふと前を行くお姉さんはおしゃれしてる。きっと誰かに会いに行くんだ。きっとそうだ。そう思ってしまったら最期、私の中の感情が形になって頬を優しく撫でる。
そんな優しさなんて求めてなんかいないのに。ああ、そうかこれが───。
ううん。きっと知らない私なんだ。これは君も、私も知らない私の感情。まだ来ないのかなぁ、待ちくたびれちゃった。金のメッキが少し剥がれた懐中時計を覗くと時間が私を追いかけて捕まえた。
「もうこんな経つのか。」
少し寒い。そこにカフェあったっけ、入っちゃおうかななんて魔がさしてしまったのだけれど、ちゃんと待ってよう。
あ、あのカップル、服屋さんでなに買ったんだろ。パンツ?トップス?なんだっけ。えっと。服なんてまともに着たこと無いし、選んだことなんかないから何がなんだかわかんない。わかんないのに詮索しちゃうのどうかしてるなぁ、私。
私は服を選んだことも、おしゃれも、みんなが「かわいい」っていう服も買ったり着たことがない。……ううん。それはちょっと違う。たった一回だけある。いつかなんて忘れてしまいたいよ。でも目に入るんだからしょうがないよね。
ずっと目を閉じてよう。
1……2……3……4……ダメだ。
私は見逃したくないのだった。