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28.

 (※マーシー視点)


「君は今、なんて言ったんだ?」


 というのが、私の告白に対するエリオット様の返答だった。

 もしかして、聞こえなかったのかしら。

 それとも、こんな大勢の前で告白されて、恥ずかしかったのかしら。

 照れているエリオット様もいいわね。


「では、もう一度言ってあげましょう。私は──」


「君は自分が何を言っているのか、わかっているのかと聞いたんだ!」


 私の言葉は、エリオット様の声でかき消された。

 こんなに怒っているエリオット様は、初めて見た。

 私は驚いて、言葉が出てこなかった。


「君は、僕の妹を傷つけたんだぞ! 大勢の前で、陥れようとしたんだぞ! そんな君と、付き合う? 冗談じゃない! そんなことはお断りだ! 僕が愛しているのは、世界で最も美しい女性、カトリーだけなのだから!」


 講堂内が、異様な静けさに包まれた。


「そんな……」


 私は、振られてしまったの?

 どうして?

 どうして、こんなことになったの?

 

 私はただ、エリオット様に振り向いてもらいたかっただけなのに。

 そのために、邪魔者であるカトリーを排除しようとしただけなのに。

 私のこの一途な思いは、エリオット様には伝わらなかったの?


 まさか、こんなことになるなんて……。


「もう、気は済んだでしょう。別室へ行って、君の処分について話しましょう」


 私は先生に手を引かれて、講堂から連れ出された。

 私が出て行く間、大勢の生徒から、批判の声を浴びせられていた。

 ……こんなの、間違っているわ。

 

 批判の声を浴びせされるのは、私ではなくカトリーのはずだったのに。

 エリオット様から愛していると言われるのは、カトリーではなく私のはずだったのに。

 こんな現実、私は受け入れられない。


 先生に連れられ、応接室に着いた。

 先生と一緒にしばらく待っていると、母がやってきた。


「あなたいったい、何を考えているのよ! 自分が何をしたか、わかっているの!?」


 ビンタと共に浴びせられた母の言葉に、私は何も言うことができなかった。


「まあまあ……、お母さん、少し落ち着いてください」


 先生が母を制止した。

 私をよろめきながら、床から立ち上がった。

 今朝叩かれたのと同じ場所だから、かなりの激痛が走った。

 涙が出てくる。

 それは、痛みのせいだけではなかった。

 エリオット様に振られたことが、受け入れられなかったせいもある。


「ええ、お母さんも来たのでマーシーさんの処遇について話します。彼女は、退学処分とします」


「そんな……、退学?」


 絶望していた私に、さらなる絶望が襲い掛かってきた。

 私はただ、エリオット様に振り向いてもらおうと頑張っただけなのに。

 恋する乙女の行き過ぎた行動として、せめて停学処分くらいだと思っていたのに……。


 退学になったら、私の学園生活はどうなるの?

 いきなり今日で最後だなんて言われても、受け入れられないわ。

 いったい、どうすれば……。

 そうか……、その手があったわ。

 私はまだ、退学にならずに済む方法がある。


 そして退学処分を逃れた暁には、カトリー、あなたにしかるべき報いを受けてもらうわ……。

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