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3−4 提案

 剣を向けられたコーネリアは顔面蒼白になり、ガタガタと震えている。周りにいた貴族令嬢たちも怯えて誰も言葉を発することが出来ずにいた。今、ここでユベールを止められるのは私しかいない。


「ユベール様!落ち着いて下さい!剣を下ろして下さいっ!」


私は必死になってユベールを止めた。


「何を言ってる?この女はとんでもない嘘つき女だ。よりにもよってお前を盗人呼ばわりしているのだぞ?それに第一、俺には到底この女が魔石を見つけられたとは思えない。大方魔石を一つも見つけることが出来ずに焦って持っていそうな人間に自分の魔石が時間外に盗まれたと言って濡れ衣をきせようしていたのではないか?」


「い、いや…」


コーネリアは震えるだけで言葉を発する事が出来ない。


「ユベール様!お願いですから剣を下ろして下さい!」


再度声を上げた時、良く響き渡る声が聞こえた。


「朝から何の騒ぎだい?」


そこにいた者は全員その声に反応し、振り向いた。するとそこにはジュリエッタを伴ったアンリ王子の姿があった。


「あ、アンリ王子!こ、この人が…騎士でありながら私に剣を向けるのです!助けて下さい!」


コーネリアはアンリ王子の隣にジュリエッタがいるにも関わらず、助けを求めた。それに対し、ますますユベールは眉をしかめる。


「剣を向けたのはお前がとんでもない嘘つき女だからだろう?!魔石を探す能力も持たないくせに、ここにいるとは図々しい女だ!」


「どうして私に魔石を探す能力が無いと言い切るのですか?!」


ユベールとコーネリアが言い争いを始めると、アンリ王子がそれを止めた。


「まあまあ2人共落ち着いて。それならこの令嬢が本当に魔石をシルビアによって盗まれたかどうか検証してみようじゃないか?」


アンリ王子の言葉にコーネリアの顔が悔し気に歪む。プライドが高いコーネリアだ。自分の名前は呼ばれず、私の名前が呼ばれたことが悔しくてしかたがないのだろう。


「わ、分りました。では検証とはどういうやり方ですか?」


コーネリアはそれでも気丈にも質問した。


「そうだな。こんな方法はどうだろう?まずは箱を5個用意する。その中に1つだけ魔石を入れて置く。そして魔石は何所に入っているのか彼女にあててもらうのさ。文句ないよね?もし彼女が魔石の入った箱を当てる事が出来れば、魔力があると認める。もし当てられる事が出来なかったら、彼女は魔力無と言う事でこの城を去ってもらう。これでどうだろう?」


「ああ、そうだな。それでいいだろう。」


ユベールは返事をするが、コーネリアは納得いかないのか声を上げた。


「ちょっと待って下さいっ!何故私だけがそんな事をさせられなくてはならないのですか?納得できません。検証はシルビアにもするべきでは?!」


「何故シルビアが検証を受けなければならない?そもそもお前が魔石を探し出せる力があるか調べる為の検証だろう?」


ユベールが再び口を挟んできた。


「あ、貴方はシルビアとペアを組んでいるから彼女をかばってるのでしょう?そもそもシルビア自身が、誰かの魔石を盗んだ可能性だってあるじゃないですかっ?!」


「な、何だと?!」


ユベールが苛立ちの声を上げ、2人の間は、ますます険悪なムードが流れる。


「分りました。私も…検証を受けます」


この場を治めるには私もやはり検証を受けたほうがいいだろうと思って手を挙げた。


「そうだね。シルビア。君も検証を受けたほうがいいかもね?それじゃ、早速用意させたから試してみよう。」


アンリ王子は笑みを浮かべながら言う。するといつの間に用意しておいたのか。ジュリエッタが5つの小さな箱の乗ったワゴンを押して部屋の中へと入って来た―。





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