入れ替わり
目を開けるとそこには、開けた宮殿のような景色が広がっていた。自分がいた城の光景によく似ていたが、きらびやかになっている
勇者「成功…したのか?」
勇者「とりあえず状況の把握から行かないとな」
横のドアを開けて入ってみる。
寝室のようだ。だが、普通の寝室とは明らかに違う点が1つある。
真ん中にでかでかと水晶が置かれている。
それにしても寝室が広い。なぜこんな場所に1人で住んでいたんだ。
勇者「誰かいるか?」
勇者「おーい」
なんということだ。こんな豪邸そうな場所なのに、人はおろかネズミすらいない。
大きな窓から朝の日差しだけが差し込む。
勇者「おーーーい!」
遠く後ろから走ってくる音が聞こえる。
勇者「お、誰かいたのか」
ドアを開ける音が聞こえる。
「どうしましたか!王!」
状況が理解出来ない。頭が真っ白になる。
目の前には、体は人だが羊の頭をした執事のような服の魔族がいた。
勇者「…こんにちは?」
執事「は?」
………
まずいテンパって挨拶してしまった。相手は魔族だ。こういう時は…
勇者「エクス」
勇者「あれ?」
やべぇそうだった剣無いじゃん?あれどうしよう?俺死んだ?嫌だよ?俺あの剣ないと何も出来ないもん。
入れ替わったのだって戦況が悪くなっていつ死ぬかわからんから逃げてきただけであって。
執事「ん?エク…?」
まずい。何とか言い逃れなければ。ここはやるしかない
見るにはこいつは執事!階級は俺の方が上のはずだ!となれば!
勇者「エクササイズをしようと…だな。」
勇者「とりあえずほら…訓練用のアレ持ってこい!」
執事「ほう…エクササイズですか。珍しいですね。今の貴方様でも十分お強いと思うのですが…」
勇者「そうか?」
改めて自分の体を確認してみる。
勇者「え?」
今の自分は凄く強そうだった。
てかなんなら尻尾とか生えてた。棘々しいやつ。前の魔術師に無理やり身体強化してもらってた時とは違う。
俺、もしかして魔族と入れ替わった!?
なんならさっき王って呼ばれてたし…最悪の場合魔王では?…。
え?嫌だよ?俺勇者になったのだって名声と地位と金が欲しかっただけだし。
あと魔族の外見がキモいから殲滅したかっただけだし。
とりあえずここは自分の外見を確認せねば。
ここを脱さねばならぬ。
勇者「そうだが、少し鏡を見に行ってくる。自分がたるんでいないか確認するためにな。」
執事「はぁ…」
執事「お持ちしましょうか?鏡…」
それはまずい。俺はこの家の間取りを調べる義務がある。
勇者「いや、自分で取ってくる。」
執事は不思議な顔をしながら
執事「了解しました。」
ー30分後ー
完全に迷った。だがここで下手に
「鏡が置いてあるのってどこですか?」
などと聞いてしまえば一巻の終わり。
怪しまれる→調べられる→魔王しか知らない事言われる→地獄行きの4コンボでフィニッシュだ。
落ち着け。こういう時は左の壁を伝ってだな。
左の壁に手をついてすすむ。
4つめの角を曲がる。
5つめ。
6つめ。
7つめの角を曲がった先に裏口のような物があった。
そこから何か物音がする。
近づいてみよう。
ドアに近づいてみる。
ドアまであと目と鼻の先の所で
「ガチャ」
ドアの鍵が開いた。
咄嗟に隠れようとするがここは一本道。7つめの角とここの間に曲がり角があるが遠すぎる。
逃げ道がない。
「あ、魔王様」
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