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状況説明などの悪い例。





 目が覚めるとそこは、玉座の前だった。

 俺は勇者リュートとして、国王陛下様に招かれたのだ。日本時代の記憶が生えてきた、とでも言えばいいのだろうか。俺は同じ年の少年リュートとして、魔王討伐に赴く、その直前だった。なるほど、なかなかに美形だ。


 イケメンに転生したのは、これ幸いだっただろう。

 記憶を手繰れば、街の女の子にはモテモテだし、バレンタインにはトラック三台分のチョコレートを貰えるし。至れり尽くせりだった。


 身体能力も、日本時代のそれとは大きく異なっていた。

 反復横跳びは七十回を記録し、シャトルランも二百回前後までいける。長座体前屈に至っては、ほぼ満点だった。つまりは、フィジカルエリート。


 吉田沙〇里や、室〇広治もビックリな人物だったのだ、リュートは。

 俺もビックリした。


「それでは、リュート。魔王討伐に向かうがよい」

「はーいっ!」


 こうして、俺は魔王なんとかさんを倒しに旅だった。







 旅の途中で、俺はエルフの村をみつけた。

 勇者であることを伝えると、すぐに村長のもとへと通される。エルフって本当に耳長いんだな、スゲーって思っていると、その中でもひときわ耳の長いお爺さんが現れた。なんていうか、本当に長老、って感じの人だった。


「おぉ、勇者様――! 我らをお救い下さい!!」

「な、なにがあったんですか!?」

「魔王軍の幹部が、攻め込んでこようとしているのです! このままでは、村が焼かれてしまいます! どうかお助けを!!」

「な、なんだってぇー!? それは許せない!!」


 果たして俺は、エルフの村を守ることになった。

 その夜のことだ。


「明日は、俺の初陣か……」


 緊張で眠れないでいると、俺の部屋のドアをノックする人がいた。

 聞こえたのは、こんな声。


「勇者様? よろしいでしょうか……」

「はい。貴方は……?」

「私は村長の孫娘――リーシャです」

「リーシャ。その、孫娘さんがどうしてこんな時間に?」


 俺は首を傾げた。

 するとリーシャさんは涙ながらに、こう訴えるのだ。


「貴方は騙されています! 今すぐ逃げてください!」――と。


 俺はさらに首を傾げた。

 騙されているとは、いったいどういうことなのだろうか。


「どういうことですか? リーシャさん」

「村長――祖父は、魔王の手先です! 貴方をこの村に呼び込んで、こうやってリラックスしているところを狙うつもりなのです! 卑怯です!」

「なに、それは卑怯だ! 駄目だよ、そんなの!」


 俺は怒った。

 勇者を騙して倒そうなんて、そんなのは許されない。ラノベ的な展開としても、ここは俺が大活躍するところなのだから、邪魔をされたくはない!


 そう思って立ち上がると、村の入り口の方から誰かが騒ぐ声が聞こえた。

 窓から見ると、そこには無残にも殺されていくエルフの人々の姿。

 そして、魔王軍と思しき魔物の群れがあった。


「あぁ、逃げてください勇者様……」

「大丈夫だよ、リーシャ」


 俺は彼女にウィンクする。

 すると、リーシャはキュンとしたように頬を赤らめた。


「キミのことだけは、絶対に守ってみせるから」




 そして、俺の勇者としての初めての戦いは始まる。


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