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俺だけがいる世界  作者: 北野こち
第6章 新世界を覗き見て
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64. 女たちの策略と何も知らない男の旅立ち


 ときは8月に入りいよいよ暑さも本格的になってきたある日。俺はなぜか今日会うはずの北本、ではなく当然のように座っている白川と向かい合っていた。

 「・・・・・なあ、2つほど聞きたいことがあるんだが。」

 「なんですか?」

 「今って夏休みだよね?」

 「はい。」

 「なんでみんな学校にいるの?」

 「部活です。」

 「・・・なんで俺学校にいるの?」

 「部活です。」

 「おおおおおい!なんでだよ!」

 俺は北本に呼び出されたはずなのに・・・。

 「・・・」

 北本を睨んだが北本は我関せずという顔だった。



 昨日の夜、俺の携帯に1通のメールが届いた。

 『明日正午に学校のいつもの場所で話があります』

 いや別に言いたいことがあるならわざわざ学校じゃなくてもよくねと思ったのでその旨を返信すると

 『いいからとにかく集合』

 との返信が届いた。

 これ以上言い返してもまず間違いなく意見は通らないということはこれまでの経験でわかった。

 それに北本には色々と借りがある。

 暑いなか外出するのは本当に本当に嫌だが、学校までならそんな距離もないし、もし無視して家にでも来られたら堪ったもんじゃないのでしょうがなく学校に行くことにした。

 まぁ、もしかしたら、なにか重要なことを伝えたいのかも知れないし。深くは言及しないけど。


 そんなこんなで迎えた今日。

 学校に来たら『図書室へ』と短いメッセージ。

 俺は猛烈に嫌な予感がした。

 今考えてみると昨日のメールもひっかかる。

 2人で会う時に「集合」という言葉を使うだろうか。

 集合というのはそう、複数人で集まる時の言葉だろう。

 ・・・いやいや、いやいやいや。まさかな。

 でも図書室に近づくにつれどんどん嫌な予感は増してくる。


 そんな予感を振り切るようにして勢い良く図書室の扉を開けたのが今から2分ほど前。

 嫌な予感は確信に変わり現実になった。 


 「いいじゃないですか、どうせ家でゴロゴロしながらアニメ見てただけでしょ?」

 「・・・まあそうだけど。でもだからといって夏休みに集まる必要はないだろ?」

 「斉藤くん以外は乗り気ですよ?」

 3人は頷く。

 「・・・・・・だいたい誰が決めたんだよ。」

 「私です。『部長』なので。」

 「・・・・・・・・・そういやそうだったな。」

 名ばかり部長だと思っていたがまさかここで権力を使ってくるとは。久しぶりに部活強制が恨めしく感じられた。

 「じゃあ北本のメールのお前が仕組んだんだな。」

 「ええ、北本さんは快く協力してくれました。こうでもしないと斉藤くんを家から引きずり出せないと思ったので。」

 「ははは・・・はぁ・・・」

 俺は珍獣かなにかか?


 「まあいい。いや良くないが、とりあえず置いておく。」

 今の俺には自分の扱い以上に問いたださなければいけないことがあった。

 「問題はなんでこいつが当たり前のように座ってるんだよ?」

 俺は北本の奥の席、これまで荷物が置かれていた椅子の方を指差す。

 「よろしくね、まあくん。」

 そこにはなぜか順が座っていた。



 「手続き上では後期から参加するということになっていますが、せっかくですし夏休みから来てもらうことになりました。」

 北本と佐々木は当然のように順と話している。

 「え、なに、知らないの俺だけ?」

 「私はテストの前に話を聞いていましたので。」

 北本は当たり前のように言う。

 「お話を聞くとこの部活がちょうど適していると思いますし。」

 白川も楽しげにそう言った。

 まあ確かに今から新しく部活に入るんだったらうちみたいに緩い部活のほうがいいとは思うが。

 「それにわたしたち気が合うもんね~」

 みんなはにこにこしながら順と話している。

 ・・・俺の知らない間に部員は順に籠絡されていた。実に恐ろしい。恐ろしい子。

 だがなぜ俺に知らせがなかったのか。・・・・・・まあこの部活の俺の立場ならそれくらいの扱いが妥当か。

 「はあ・・・・・・まぁいいけどさ。てか俺に選択権はないし。」

 「ありがとうまあくん。」

 そう、俺に選択権はないのだ。

 「まったく・・・」

 ここで断ったりしたら俺がこの部活を追放されかねない。

 それに、まあ、その、なんだ、順が加わることは俺もやぶさかではないし。



 「で、何すんの?」

 呼び出されたはいい(よくない)が、日頃から特に何もしていない我が部活、とても夏休みにやるネタなんてないように思える。

 アニメとかだと金持ちの友達の持つ別荘に行ったり、花火大会とか行ったりするだろうけど俺に限っては絶対ありえない。

 「やはり夏休み春山にいるだけではもったいないですよね。」

 俺の脳内と正反対のことを言い出す白川。

 俺は全くそう思わないがここは空気を読んで0.5度くらい頷いておいた。

 「ということで・・・」

 まさか、アニメよろしくこいつの別荘に招待されたりしないよな。

 てかこいつが別荘が持ってるわけ無いか(失礼)。

 「ちょうど5人になったことですし・・・」

 ちょうど・・・?5人・・・?

 俺は再び嫌な予感がした。その発言と白川の手から青い紙が見えたことに。


 「18きっぷで旅に出ましょう!」


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