55. ぼっちの生態その1: 知らない人には近づけない
「・・・」
「・・・あの」
「・・・・・・」
「何してるんです私達・・・・・」
「・・・」
「・・・」
2人からは非難の目が浴びせられる。
「・・・・・・しょうがないだろ・・・」
図書室前、俺達3人はいつもなら我が物顔で開ける扉から部屋の中を盗み見ていた。
「なんで勢いで入らなかったんですか・・・」
なぜそんな状況になっているかと言うとひとえに俺の他人探知機が反応したからである。
というのも・・・。
「そう言われても・・・てかそういうならお前から入れよ・・・」
「いや・・・今更入るのも・・・・」
俺達の部室と化していたこの図書室、これまでその存在すら知られていなかったのではと言うほど人の気配がなかったこの部屋に見知らぬ女生徒がいた。
「・・・どうする白川」
「・・・・・・あと1分待って佐々木さんが来なかったら私が入ります。」
「・・・なんか、ごめん。」
「いえ・・・・・・」
忘れがちだが俺達は図書室を間借りしている。そしてそもそも図書室は公共のスペースである。
だから知らない人がいるのは当然である。
ただ、あまりにも辺鄙であまりにも遠くあまりにも使いみちがないこの図書室は誰にも認知されていなかった。
というか最近知ったことなのだが資料室という名の教室がこの図書室の上位互換のスペースになっているらしい。
クラスから近い、広い、新しい本が多い、きれい。
多くの人にとっては資料室が実質図書室という認識らしい。あまつさえ学校自体もその認識なのかも知れない。
一度も入ることなく卒業した学校の教室というのは誰もが思い当たる節があるだろう。この図書室が多くの人にとってまさにその立ち位置なのだ。
だからこれらを鑑みるとさらに今の状況が不可解なのである。
なぜ人がいる。今や司書のじいさんすらめっきり見なくなったようなこの図書室に。
少なくとも本を読みたいという図書室の本来の目的ではないだろう。
理由がわからないのも相まってより入りづらいのだ。
もっともその理由がなくても俺は入れなかっただろうが。
「みんななにしてるの?」
いよいよ突入家となったその時出歯亀3人組に声がかかる。
「あっ・・・」
「よかった・・・・・・」
白川が安心した声を漏らす。
ちょうどいいタイミングで佐々木が来てくれた。
「佐々木、お前の出番だ・・・」
「え?なになにどゆこと??」
「中に人がいるんです。」
白川がそう言う女生徒はまだ本棚の前にいる。
「ははーん。特攻しろってこと?」
「どうかお国のために。」
北本の以外な一言に笑いそうになりながらも俺と白川はうんうん頷く。
「まあ、いいけどさ。・・・ん?」
渋々承諾した佐々木は何かに気がついた。
「ってなんだあ~じゅんちゃんじゃん。」
「え、なに知り合い?」
「知り合いも何もクラス一緒だし。」
はあ・・・と佐々木以外の3人は息を吐く。てか俺達は何をやっていたんだろうか・・・
ガラガラと佐々木は俺達が数分もの間開けられなかった扉をいとも簡単に開けた。
「お前らはあの子のこと知らなかったのか?」
佐々木の後をついて入室する時疑問に思ったことを2人にさらっと聞いてみた。
というのも教室の中にいる女子が4組ならこいつらは体育の時に会っているはずだ。
いやまあ俺もバレー以来体育で一緒になっているはずだが、そもそも俺は同じクラスの女子も覚えていない。
しかし普通の一般人はクラスメートくらい半月で覚えると聞く。
北本・・・はわからないが白川はまず覚えるだろう。
そんな軽い気持ちで聞いてみた。
「・・・」「・・・」
しかし返ってきたのはばつの悪そうな2人の顔と沈黙だった。




