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俺だけがいる世界  作者: 北野こち
第1章 変わらない世界の改変
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4.5 怠惰な彼の休日


 高校生になって初の週末となった。


 だが高校生になったからと言って週末の過ごし方が変わるということもない。これまで通り一日中家でだらだら過ごす。当然なにか生産的なことをするわけではない。



 だいたい平日に五日連続で学校に行っているというのに休みの日にも外出するという方が異常である。ようやく家にこもることを許されたのだ。存分に家でごろごろしなければ週休二日制に失礼である。


 この信条を胸に、起きてから何も考えずにTV番組を見続けていた。

 よくわからないクイズ番組の再放送を見終えるともう夕方である。

 夕飯を食べ自室のベッドに転がる。


 嗚呼、なんと有意義な休日の過ごし方だろう。自宅に感謝しながら俺は眠りにつくのであった。

 これが俺のいつもの休日の過ごし方である。



 改めて見ると自分のつまらなさに感嘆する。


 まあ誰かを楽しませるために俺は生きているわけじゃないので気にはしていない。




 翌日も正午ごろに起床する。やることがなにもないので12時間睡眠もざらである。

 まどろみの中携帯をいじっているとある情報が目に入り体を起こす。


 「さあ、家から出よう。」


 

 基本自発的に外出しない俺であるが唯一例外がある。


 それは追っている漫画の新刊が発売されたときだ。


 漫画は引きこもりの友である。友が増えることはいいことだと小学校で習った。だから漫画だけは新刊に気づいた時すぐに買うことにしている。それに一回買いそびれるともう読まなくなるなんてこともあるしね。


 なにか必要なものはあるか母に聞くともうすぐ牛乳が切れそうだという。帰りに牛乳を買うことを頭の片隅において玄関の扉を開いた。


 自転車でサブカル関連の商品を多く扱うショップに向かいながら他に必要なものはないか考えを巡らせる。

 これは引きこもりの生態なのか俺の性分なのかわからないが、一度家を出たら出たことにできるだけ意味をもたせようとする。わざわざ家から出たんだ、それだけの理由があるのだろ、と自分に納得させるために外出に沢山の意義をもたせる。母に必要なものを尋ねたのもこの精神から来ている。

 牛乳と一緒に大学ノートとシャープペンシルの芯を買うと脳内にメモを書いた。


 自転車で10分もすると目的地のショップに着く。新しいクールが始まるごとに変わる内装に若干心を踊らせながら新刊コーナーへと向かう。

 お目当ての本を抱えながら店内を散策する。好きなジャンルのニューフェイスの登場は逃さないようにしたい。1巻目を見逃すと今後そのタイトルを買わなくなる確率がかなり高くなる。

 俺は難しくない漫画が好きだ。そしてかわいい絵柄の漫画が好きである。要するに癒やされるタイプの漫画が好物なのだ。

 散策の主な目的地はこのジャンルが並ぶコーナーである。


 ここを見たらもう帰ろう、そう思いながら歩いていくと向こうから女性から歩いてくる。最近はこういう店に来る女の人も増えたななんて考えていた。

 しかしすれ違う時あることに気づく。


 「中谷だ…」


 どこで見たか考えるとすぐに答えはわかった。

 同じクラスの女子にいた顔だ。しかもたまたま名前も覚えていた。覚えていたことと中谷の胸がやたら大きいことには何の因果関係もない。


 あいつこういう店来るタイプの人間だったのか。クラスでの雰囲気では溌剌とした感じでサブカルとは縁遠そうな印象だった。やはり人を見た目で判断するとこは良くないな。

 だからといって今声を掛けるなんてことは決してしないし、今後クラスで話すこともないだろう。すぐ忘れていい情報として一時保存するくらいが関の山である。


 会計を済ませスーパーへと向かう。自宅とスーパーとアニメショップの位置関係は正三角形に近いが自転車なのであまり気にしない。家から出るまでのハードは高いが、一度出てしまえば移動はそこまで苦ではない。まあチャリで15分圏内くらいならの話だが。


 1時間弱の外出を終え帰宅する。大仕事を終えたような気分である。

 明日から始まる学校で鬱になりそうな心を新刊で打ち消す。新刊でも相変わらず可愛いキャラたちの何でもない日常が繰り広げられている。何もない日常とは何にも代えがたいものだと再確認しながら眠りについた。



 そういや白川はどんな休日をすごしているんだろうか。


 まあ・・・どうでもいいか・・・


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