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俺だけがいる世界  作者: 北野こち
第4章 はじめて知る優しさ
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39. その場の雰囲気


 再び女子の後ろをとぼとぼ歩く。

 何でも次は雑貨的なものを見に行くらしい。

 正直どういうものが雑貨なのかすらわかっていないレベルで興味がないが、白川がいる以上別行動もできないため付いて行くしかない。


 スマホを見るとまだ来て2時間ちょっとしか経っていなかった。

 ああ、時間の流れが遅い。

 まあ来てすぐは楽しかったと言ってもいい。

 初めてこんな大きなショッピングモールに入って心躍るものがあった。

 だが今は早く帰りたい。

 とにかく疲れた。

 一日平均歩数1000歩未満の俺にはとうに限界活動時間は超えている。

 目の前の女子共と来たら、無駄に広いモール内で無駄に多く店を渡り歩いている。

 なぜ服屋だけで何軒もはしごしなければならないのか。ショップごとに特典が違うわけでもないというのに。

 大体私服を着る機会なんてないだろうに。

 ・・・・・・いや、あるか。ないのは俺だけか。

 

 

 女子たちが立ち止まる。どうやら目的地についたようだ。

 なるほどこういうのが雑貨屋というものらしい。

 いかにもおしゃれが好きな女子が好きそうなおしゃれなものが並んでいる。やたら木目のものが多いと思うのは気のせいだろうか。

 それにしても色々なものが並んでいる。

 特に興味はなかったが案外楽しめるかもしれない。

 少なくとも服屋よりは楽しめそうだ。

 さすがの白川も同じ店にいれば怒らないだろう。


 ・・・。

 いろいろ見ていたが、どうしても実用性のあるものに目が行く。

 置き物とかぬいぐるみとかはよくわからないし、第一俺が見てても気持ち悪い気がして手に取る気にならない。

 自然に普段使いできそうなものばかり見てしまうが、そもそも俺が普段使うものなんてほぼない。

 あるとしたらスマホくらいだろうか。

 と、そんなわけでひたすらスマホカバーコーナーを見ている俺だった。

 今の俺のスマホカバーはスマホを買った時についてきた無地のケースだ。

 カバーなんて何でもいいと思っているが、長年使っているのでくたびれている感は否めない。

 可愛すぎないやつがいいが・・・。

 そう思いながらいろいろなカバーを眺めいている時だった。

 「ひつじ、好きなんですか?」

 「おおぉ。びっくりした。」

 興味本位にいろいろ物色していたら背後から急に話しかけられた。

 「ごめんなさい。珍しく斉藤くんが真剣な顔をしていたので。」

 白川から見ると俺はいつも真剣味にかけるらしい。まああってるけど。

 「今日初めて真剣になったのは事実だな。」

 「私達の服の感想は真剣じゃなかったんですか?」

 「い、いや、真剣だったぞ。もちろん。」

 「・・・まあいいです。それでなんでずっとひつじのカバーを握りしめてるんです?」

 つい話しかけられた時持っていたデフォルメされた羊が小さく描かれたカバーを握ったままにしていた。

 「ああ、これね。いや、ほら俺ひつじ年だし。」

 あまり理由になっていない気がする。なぜなら俺もなんでこのカバーを持っていたのかわからないからな。

 でもまぁアニマルの中で何が好きだと言われたら羊だ。動物全般が好きかどうかには触れないでおく。


 「そうだったんですか。そうですね、考えてみれば1年違いですもんね。」

 そっかこいつは早生まれじゃないもんな。

 「でも俺にはこんなのにあわねーか。」

 よく考えたら俺がこんな柄のカバーつけてても似合わない気がしてきた。

 いやよく考えなくてもそうだ。今日一日ファンシーなものを過剰に摂取したせいで感覚がおかしくなったらしい。

 「そんなことないと思いますよ。今のくたくたのカバーよりはいいと思います。」

 ・・・白川も言うようになったな。クタクタなのは事実だけど。

 「そうかな。」

 「せっかく一緒に買い物来たんですし記念に何か買いましょうよ。」

 「となり町の買い物は記念ってほどでもないだろ。」

 「そうですね。また近いうちに一緒に来る機会ありますもんね!」

 「記念だしちょっとこれ買ってくるわ。」

 急いでレジに向かった。


 無地の財布を取り出した瞬間冷静になりかけたがなんとか気づかないふりをした。

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