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俺だけがいる世界  作者: 北野こち
第4章 はじめて知る優しさ
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37. 来訪、そして来襲


 「今日はどのお店に行く~?」

 「夏用の服を安売りしているお店があるみたいなのでそこは絶対に押さえたいですね。」

 電車の中、ガールズトークが弾んでいた。

 俺は流れる外の景色を眺めていた。

 実はさっきまでのもう緊張はなくなっていた。

 なぜならある事実に気づいたからである。

 今回の買い物に絶対俺いなくてもいいだろ、という事実に。

 この買い物の発案の時に俺がいたから仕方なく誘ったが、実のところ俺は必要ないというのが女子たちの本音だろう。

 しかしまあ来てしまったのは仕方ない。

 併設されてる映画館で1人で映画でも見てようかな。



 そんな事を考えながらぼーっと通り過ぎるビル群を見ていると不意に声をかけられる。

 「斉藤くんは何か見たいものとかあります?」

 「俺?何もないが。」

 家でアニメを見ていたかったという本音はもちろん言わない。

 「服とか靴とかほしいものないの?」

 「そうだなぁ・・・うーん・・・ないな。」


 「まあ、男の子ってそんなもんだよね。」

 意外にも佐々木はわかってくれるようだ。

 「おお、わかってくれるか。」

 「まあうちのお兄ちゃんもそうだからねえ。」

 「え」「お兄さんがいるんですか?!」

 「あれ、いってなかったっけ。」

 へえ、佐々木は兄がいるのか。

 「いいですねぇ、お兄さん。」

 「別にいいもんじゃないよ。うるさいしかっこ良くないし。」

 「私、憧れます。お兄ちゃん。」

 白川が目を輝かせている。

 「そんな良いものでもないけどなあ。」

 北本も前俺にそんなこと言ってたなあ。

 ということは。

 「白川、お前一人っ子なのか。」

 「そうです。いいですね二人とも兄弟がいて。」

 俺と佐々木は顔を合わせる。


 「まあ、俺達からすると結構一人っ子も憧れるけどな。」

 うんうんと佐々木は頷く。

 「そんなもんなんですかね。」

 隣の芝生は青く見えるとはよく言ったものだ。

 


 隣町なのでそんなに時間はかからず到着する。

 「こんにちは。」

 改札を出るとすぐに北本と合流した。

 「では早速向かいましょうか。」

 ショッピングモールまでは駅前から出ている直通バスで行けるらしい。

 女子3人は足早にバス停に向かう。やはりショッピングが楽しみなのだろうか。

 思うのだが、なぜ女子はショッピングが好きなのだろうか。

 というか女子に限らずショッピングが好きな人はなぜそんなにショッピングを楽しめるのだろう。

 正直何が楽しいのかわからない。欲しいものを一人でさっと買ってさっと帰るで良くないか?

 俺がそんな事を考えている間もガールズトークは続いていた。

 数分後バスが来る。

 いよいよ目的地のショッピングモールである。




 「おお~っ!」

 佐々木が歓声を上げる気持ちもわかる。

 思っていたよりも数倍大きい建物がそこにはあった。

 伊達に県内最大規模ではないらしい。

 これだけ広ければ俺でも楽しめる店があるだろう。

 「最初はどこに行きますか?」

 白川が本日の主役に尋ねる。

 「え?うーーーん。」

 いきなり聞かれるとは思っっていなかったのだろう。

 「じゃあ・・・」

 どうやら考えたがまとまったらしい。

 「最初はお昼ごはん!」

 


 ショッピングモールに入ってまず人の多さに驚く。

 さすが日曜日、ある程度予想はしていたが実際見るとなかなか圧倒されるものがある。

 なんでこう世の中の人は外出が好きなのだろうか。

 今の時代家からでなくても楽しいことにあふれているではないか。

 彼らは外出依存症なのか?


 「なにを食べます?」

 場違いな俺を尻目に女子たちは前を楽しそうに歩いている。

 「そうだな~。やっぱフードコートといえばステーキだよね!」

 「そう・・・なんですか?」

 「さあ、私はこういうところ詳しくないので。」

 「え~~フードコートといえばステーキでしょ。ねーまさくん。」

 突如話を振られる。

 「いや、別にそうとは限らんと思うが。それに昼からステーキって重くないか?」

 「昼に食べるからいいんじゃん。」

 「私はちょっと・・・。」

 さすがの白川も苦笑いしている。

 多くのJKは昼にステーキはきついだろう。

 「私は構いませんよ。」

 「「えっ」」「おーっ!」

 どうやらそうでもないようだった。


 

 「どうします?」

 「そうだなあ・・・」

 昼飯の決まった二人がステーキ屋に並ぶ間、俺達はフードコートを歩いていた。

 こうもたくさん店があるとなんでも選べる気がする。

 しかしなぜだろうか、これほどたくさん選択肢があると逆に決められない。

 「正直なんでもいいんだが。」

 「そうですねえ」

 じゃあと白川はうどん屋を指差す。

 うーん、なかなかいいチョイスだ。

 混んでいる中でもすぐに出てきそうだし、うどんならつるっと食べられる。

 「じゃあそうするか。」

 「はいっ!」


 こういう時の白川はさすがだ。

 早く買って二人と合流しよう。

 足早に列に並んだその時どこからか声がした。

 「あれー白川さんー?」

 俺は嫌な予感がしたので決して振り返らなかった。

 「あっ中谷さん!」

 「おお奇遇だね~。家族とお買い物?」

 「あっ、い、いえ。」

 白川が察する。

 「あぇ、ま、まあそんなところです。中谷さんも?」

 「そうそう、夏物を買いにねぇ~・・・ん?」

 寒気がする。これは何かとても良くないことが起こりそうな予感がする。


 「んん~~?あっ!」

 腹をくくった。

 「よ、よう・・・」

 「なんで斉藤がここにいるの?あんたたちやっぱり!はぁあ、私は前から怪しいと思ってたんだよ。」

 ほーらほらほら面倒なことになった。

 隣町とはいえ人気のモールだ、こういう事態になる可能性はあるとは思っていた。

 しかし特に面倒な奴に見つかったのは誤算だった。

 「ま、まて。違うぞ。」

 「あの、これはですね。」

 「ああ、いいのいいの。ごめんね邪魔して。あとはお二人で楽しんで~」

 「お、おい!」

 脱兎のごとく中谷は去っていった。

 ・・・。

 「どうする?」

 「どうしましょう。」

 「まあ、とりあえずうどん頼むか。」

 気づけば俺達の番になっていた。

 「かけうどん1つ」

 寒気のせいでどうも冷を食べる気にはなれなかった。

 「同じものを。」

 どうやら白川も同じようだった。

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