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俺だけがいる世界  作者: 北野こち
最終章
241/241

EX1. これから、ここから



 「なんか最後まで損な役回りだったよね」

 ある日の昼休み。俺は順とふたりでグラウンドが見える窓の前で話していた。


 「そ、そんなことはないとおもうけど」

 別にそんなと損なをかけているわけではない。

 「というかお前は俺のこと、別に、その、好きじゃなかっただろ」

 「ちょっと、いつからそんな自信家になったの」

 「いや、まぁ、実際そうだったし」

 「たしかに」

 「他の女子はその、アピールがあったからな。でも順はそうでもないというか、周りにあわせているけど、俺にそういう気持ちをぶつけているって感じなかった」

 「まあくんって鈍感なのか鋭いのか最後までよくわからない人だったわ」

 「ははは」

 「でもあの日、佐々木と北本を介抱してくれたのは助かったよ、ほんと」

 「あの日は大変だったんだからね~。ふたりはずっと負けただの捨てられただの言いながら泣いてるし・・・」

 「いやー面目ない。このジュースで許して」

 「そんなの用意してたの」

 「今日呼んだのもあの日のお礼を言うのが目的だったし」

 「あ、そ。まぁわたしももう過去の女だしね」

 「ぐ、そんな言いかたしなくても・・・」

 「事実だし。というかあの後すぐ白川ちゃんに告白したの?」

 「まぁね」

 「へぇ~」

 「なんだよ」

 「いや?やるとなったらやる男だったんだね。覚悟決めるまではこんなに時間かかったのに」

 「ここで言わないと一生言えない気がしてな」

 「そっか」

 昼休み終了5分前のベルが鳴る。

 「じゃあね、白川ちゃんと末永くやりなよ」

 「おう」

 「白川ちゃんとやるときはちゃんと付けなよ」

 「おう、ってお前な、そんなこと堂々と言うな」

 「へへへ、じゃあほんとにほんと、またいつか」

 順は去っていった。



 あの日以来、部活は開かれていない。

 もう昼休みも放課後のあの図書室に行くことはなくなった。


 北本とは元から教室で喋ることはなかったが、もう目が合うこともなくなった。


 佐々木は、どうしているだろうか。こちらから会うというのもやりにくいため、そのままだ。


 白川との関係は変わっていない。と言ってもそれは教室内だけの話で。一緒に帰るときはもうすぐに指を絡めてくるし、別れ際には舌も絡めてくる。


 一番の誤算だったのは、白川がやたら、その、なんというかスケベだったということだ。とは言うものの、市民プールの帰りに急にキスしてきたあたりでその片鱗は見え隠れしていたという気も今となっては思えるが・・・。




 高1の4月から始まった、夢のような、嘘のような日々は11月を持って完結した。


 ここからは新たなステージで新しい日々が始まる。

 「なんですか?」

 「いや、なんでも」

 「私に見とれてたんですか」

 「いや、ちょっと他のことを考えてた」

 「他の女のことだったら殺しますけど」

 「違う違う違う!痛いからそんなに手を強く握らないで」

 「どうだか」


 これからは白川のことをもっと知るための時間がスタートするのだ。

 ちょっと・・・怖い気もするけど、でもやっぱり楽しみだ。



 「もうほかの女のことなんか考えられないようにしてあげます。今週末、うちに来てください。親いないんで。夜まで」

 「あの、何する気」

 「わかっているくせに」

 「お前なぁ・・・」

 「うふふ」



 いや、かなり怖い気がしてきた。


 でも、知らないことというのは往々にして怖さを伴うものだ。

 これから俺は白川を守る。どんなときも隣にいる。

 きっと白川も俺一人では見られなかった景色を見せてくれるはずだ。




 そんな新しい世界にわくわくしながら俺たちは今日も、明日も、これからもずっとふたりで並んでともに歩み続ける。

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