227. オタクくんのホームグラウンド
白川に連れてこられた自分ひとりではまず入ろうとも思わないだろうシャレオツなイタリアンのお店でランチを摂った。
おしゃれな名前のおしゃれな味のするパスタ(激浅感想)を食べながら、向かいに座る白川に思ったことを聞く。
「今日みたいなことって、ずっと計画してたの?」
「今日みたいってどういうことですか?」
「そりゃあ、その、俺を連れ回して色々改造するみたいな・・・」
「うふふ、改造ってなんですか」
白川は口を抑えて笑う。
「良いですか、斉藤くんは素材はそんなに悪くないんです。もう少し自分に興味と自信を持ってほしいと常々思ってました」
「・・・つまり、お前は日頃の俺はダサいと思っていたと」
「いいえ、さらに良くなる手段はあるなと思っていたということです」
あんまり違わないような、と心のなかでは思う。
「それはわかったけど、それは誕生日のプレゼントとしてまでしたいことだったの?」
「うーん」
うなりながら白川は人差し指で自分の頬をかくような仕草をする。
「そうですね、正直に言えば斉藤くんと一緒に出かけられたらなんでもよかったです」
「そ、そうか」
よくそんなセリフを臆面もなく言えるものだ。てか白川はなんかニヤニヤしてるし俺の反応を見るためにわざとこういうことを言っているのかもしれない。
「で、これからはどうするの?」
「決めてません!」
「え゛」
思ってもいない返事に変な声が出た。
「斉藤くんのおすすめの場所に連れて行ってください」
「お・・・」
おいおい、なかなか難しいことを言い出すじゃないか。と口から飛び出すすんでのところで止まる。よく考えてみたら、これが普通というか、誕生日プレゼントのデートを誕生日の人が考えていた今までが異常だったんだ。
も、もちろんこの話が持ち上がった当初は俺が全部のプランを考える気でいたんだが、白川は「考えなくていいですよ」と言ってきたんだ。
でもまぁとにかくあるべき姿というか、正しい形になるというだけなのだ。だからおいおいなんて言う権利はない。
しかし予習期間ゼロは厳しい。正直言って今の俺は無策だ。
というか俺は白川が好きなものとか何も知らない。
「しかしあの~あれだぞ、パッと振られて気の利いた場所が出てくるような男じゃないぞ、俺って」
「わかってます」
(わかってますというのもどうなんだろう・・・)
「ベタだけど・・・ゲーセンとか?くらいしか思いつかない」
恐る恐る白川の表情を窺う。
「良いですね、行きましょう!」
大丈夫のようだ。




