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俺だけがいる世界  作者: 北野こち
第10章 終わりがあるから始められる
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218. スーパートイレタイム 突入





 「すみません、お手洗い借りていいですか?」

 「どうぞどうぞ」

 話も一段落したということなのか北本がトイレのため中座する。



 俺のために残してくれていたという佐々木のスイートポテトを、新しく出したコーヒーとともにいただきながら話題はテストに移る。


 「でも良かったねまさくん。風邪が来週じゃなくて。来週だったらテストだったよ」

 貴重な土曜日を潰すテストを受けられることを『良かった』と表現するところに佐々木の真面目さがにじみ出ている。

 「そういやそんなのあったな」

 高1から模試を受けないといけないなんて、なんて世界だ。これが学歴社会というやつなのか(適当)。


 「来週は模試。月末は中間テスト。それであっという間に年末か・・・」

 文化祭・体育祭とめぼしい学校イベントは終わり、あと残るはテスト・テスト・テスト。

 季節はもうすぐ冬。日に日に朝ベッドから出ることが困難になっている。


 「ナチュラルにクリスマスを飛ばしたね・・・」

 順が苦笑いする。


 「そりゃ何かあるわけじゃないしな。クリスマスは昔はプレゼントやらなんやらあったけど今は特になにもないしな」

 「予定は何もないの?」

 「クリスマスの?ないない。そんな何日も先の予定あるわけない」

 「・・・・・・」

 会話に妙な間ができる。クリスマスの予定がないというのはそんなに呆れ果てることなのか。


 「ちょっとトイレ」

 なんだか女子同士での会話が始まってしまったので今度は俺がトイレに行く。

 さっきまでは立っているだけでしんどかったが、今ではなんともないから不思議だ。睡眠の重要性。


 しかしもう11月か・・・なんだか9月あたりから一気に時間の流れがはやくなった。これは目新しいことが続いているからなのか、それとも減ったからなのか。


 あ。11月といえば・・・。

 俺はリビングに戻り開口一番に切り出す。


 「全然関係ないけどさ、そろそろ白川の誕生日だったよな。・・・何日だっけ」

 「え?、え、ええ。12日です」

 急な話に戸惑う表情を見せながらも教えてくれる白川。

 「そうか、じゃあ模試の次の週か」

 スイートポテトの残り一口を食べる。


 「そろそろおいとましましょうか」

 みんなが食べ終わった頃合いを見て白川が腰を上げる。

 「そうだね」


 「みんなありがとう」

 改めてみんなにお礼を伝える。


 「いえいえ」

 「佐々木、スイートポテト美味しかった。元気になった」

 「それは良かった・・・。ごめん、帰る前にトイレ借りてもいい?」

 「ああ、もちろん」

 季節のせいか、コーヒーのカフェインが効いているのか、みんなトイレが近くなっているみたいだ。

 「まさくんごめん、トイレどこ?」

 「そこ出て右の奥の左」

 「ありがとう」


 各々残ったコーヒーを飲んだりカバンに物を詰めたり帰りの準備をしている。それを俺は少しさみしい気持ちでぼーっと眺めていた。


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