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俺だけがいる世界  作者: 北野こち
第10章 終わりがあるから始められる
195/241

191. ちょっとバカくらいがちょうど良い





 体育の時間。何が楽しくて男だけで集まって跳び箱なんてやらないといけないんだと思いながらも、屋内だから寒くないしまだましかと自分を納得させつつ無心で跳ぶ俺。男女一緒にやれば跳び箱以外にも跳ねるものが見られただろうと言うのに。


 数回跳んで「くぅ~疲れましたw」という顔を演じながらサボりには持って来いの体育館のすみっこにフェードアウトした。

 程なく体育教師が体育館から消える。監督責任とかはないのかと若干思うが、居なくなるのはありがたい限りだ。

 いつもは元気な他の男子たちもさすがに跳び箱には面白さを見いだせなかったようで体育教師が席を外すやいなや跳び箱を跳ぶ人はいなくなった。



 「お前は堂々とサボるな」

 クラスメイトの高橋がスマホで暇をつぶしている俺に話しかけてくる。ちなみにスマホはジャージの下に履いている短パンの体操着のポケットに忍ばせて持ち込んだものだ。

 「まぁな」

 サボることに関してだけはどこまでも真剣だ。存在感の薄さも相まってあらゆる場面で風景と同化できるレベル5の能力を15年かけて体得した。

 「高橋サボってんじゃねぇよ」

 「お前もだろw」

 他の男子もぞろぞろ集まり始める。こいつらもベストサボりスポットを見定める目はあるようだ。



 俺がスマホを触る横で男子たちの雑談が始まる。万が一話題が合えば混ざってもいいななんて思っていたが残念ながら聞いたこともないような人(おそらくyoutuber)の話や休日着ていくファッションの話が延々と続いているせいで全く入る余地がなかった。

 べ、別に最初からお前らと話したくなんかなかったんだからねっ。俺は周りに悟られないようにゆっくり尻を動かして男子たちから距離を取りはじめた。


 しかし間が悪いとはこのことで、離れようとした時にちょうど話題が自分の興味のあるものに変わった。


 「そうそう知ってる?リリーちゃんこの高校のOGなんだって」

 「え、まじ?」

 「7個上ってこと?」

 「浪人とか留年とかしてなけりゃだけど」

 「してなさそ~」

 「話してても真面目なのがにじみ出てるもんな」

 「あの感じは悪い男に引っかかった経験があるな」

 「お前になにがわかるんだよw」


 男子が車座になって喋っている内容を車外から聞く。


 というかリリーちゃんってなんだよ。最初誰のこと言ってるのか全然わからなかった。さすがに内容から教育実習生の話だとわかったが。そう言えば放生の下の名前が梨里だったな。


 しかし男子内でリリーちゃん呼びが定着しているのが実に気持ち悪い。本当に男子高校生っていうのはバカで気持ち悪い(特大ブーメラン)。


 「実際高校の教育実習ってあんなに真面目にやるもんなのかねぇ」

 「どうだろ。授業はまだしも僕たちのことをメモしてるのはそこまでやらなくてもとは思うけどね」

 「あれ、正直怖いよな」

 「内心きついと思ってる女子もいるだろうなぁ」


 全くの同感である。男子はこんな感じにあけすけだが、女子は集団になればなるほど陰湿になることを文化祭や体育祭で嫌というほど思い知らされた。


 「ま、俺からすれば現役女子大生と話せるからなんでもいいけどw」

 「それ。なんかめっちゃいい匂いするし」

 「あれが『大人の女性』ってやつなんだろうな」

 「リリーちゃんに比べりゃクラスの女子はおこちゃまよ」

 「いろんなところがなw」

 「あれはDはあるだろうな」


 こ、こいつら・・・。こんなこと言ってたらまた女子からボコボコにされるぞ。・・・まぁ俺も初対面のときに同じようなこと思ったけど。


 というかあれはEはあるだろ。


 「やべ」


 教師が帰ってきたとともに蜘蛛の子を散らすように周りが立ち上がって散っていった。俺もこのビッグウェーブに乗りながらスマホをしまい、再び跳び箱が並ぶ中心へ戻っていった。




 体育が終わり、着替えている時ふと「女子ももしかしたらこんな風に放生のことを裏で喋ってるのかもな」と思った。


 しかしその内容を考える気には全くなれなかった。

 

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