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俺だけがいる世界  作者: 北野こち
第10章 終わりがあるから始められる
189/241

185. スーツには スーツにしかない 良さがある



 数日後、再び国語の時間が訪れた。俺の予想だと、今日の国語は現代文だがきっとこの時間もその女子大生は来る。日頃はほとんど聞いていない国語だけど、今日はまだ見ぬ彼女が現れるまでは授業を聞いてやろう。


 ・・・。

 それから数分も立たないうちに、扉に付いた小さな窓に人影が見え、ガタッっと音を立てながら扉が開かれた。

 会釈をするように少し頭を下げてその女子大生はクラスに入ってきた。音に気がついたクラスメートが後ろを振り返るのがわかった。一瞬、なべちゃんの仲間たちに視線を移す。彼女たちの女子大生を見る表情を確認。やっぱり驚いた素振りはない。間違いない、彼女が2日前に話に出ていた女子大生その人だ。


 あいにく今は一番うしろの席では無くなったので、ずっと後ろを向いて女子大生を目で追うわけにはいかない。一度頭の向きを黒板に戻し、遠目で見た女子大生の姿を脳内で振り返る。

 パット見の印象は女子大生というよりはOL。それか想像だが就活生もこんな格好だろう。全身リクルートスーツのような黒のスーツ。たしかスカートのスーツだったと思う。髪型も真面目に前髪を斜めがけして後ろでひとつ結びスタイル。化粧も自然で、狭いフレームの赤いメガネが印象的だった。身長は標準的。多分北本や佐々木より少し高く、白川より少し小さいくらいだ。左手にはペンを、右手には紙を挟んでいると思われるクリップボードを持っていた。



 ここまでできっと察しのついていることだろうと思うが、この女子大生はまず間違いなく教育実習生だ。

 はじめになべちゃん達が話していたときから大凡予想はできたが、高校の授業中に突然現れても先生に何も言われないなんて役職、どれだけ考えても教育実習しかない。

 うちの担任のおばちゃん、もとい吉野先生は国語(現代文と古文)教師だ。きっとこの女子大生は高校での国語の教師を目指しているのだろう。


 何をそんなメモをすることがあるんだこんな授業に、と思うが女子大生はクリップボードに文字を書き込みまくっている。

 ・・・しかしまぁ距離はかなり離れているとは言え、後方に人(先生の卵)がいるとなると漫画を読んだりスマホを取り出したりするのは憚られる。それにその女子大生はぎょろぎょろとクラスの様子を観察していやがる。

 仕方ない、授業を聞くか。一応今授業で扱っている評論文は以前目を通した。それにしても授業に出てくる評論文ってのはどうしてこうも回りくどい言い回しをするのだろうか。それに評論対象も全くおもしろくない。作者は随分興味があるようだが、こっちは西洋美術と日本の美術の対比なんて一ミリも興味がない。現代文という授業はもしかしたら興味のない話を延々読み続ける訓練なのかとすら思えてくる。


 案の定授業への集中は5分も持たなかった。そうなると考えるのはやはりどうしても今存在が気になっている教育実習生になる。

 俺はこの女子大生に対していくつか気になる点を見つけた。

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