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俺だけがいる世界  作者: 北野こち
第10章 終わりがあるから始められる
182/241

178. ちょっと男子~!



 そんなこんなで時は流れて調理実習当日。俺は押し入れの奥の方にあった、中学時代に作ったと思われるよくわからないデザインのエプロンとバンダナが入った袋を鞄の中から取り出す。

 今日は昼ごはんを持ってきていないこと・昼休み時間の間に調理室に移動しないといけないということもあり、昼休み俺と北本は図書室に行けない旨を既に伝えてある。


 袋をゆらゆら揺らしながら廊下に出る。調理室なんてこれまで行ったことがなかったが、毎日図書室に向かう途中に前を通っていたため場所だけは知っていた。まぁわからなくてもすたすた歩く他のクラスメイトについていけば到着できたと思うけど。・・・てか君らなんで調理室の場所なんて知ってるの?


 「おい斉藤」

 ひとりでまったり廊下を歩いていると声をかけられる。振り向くと高橋ほかクラスの男子の集団がいた。

 「おぉ」

 若干驚きながらも無下にする理由はないのでこいつらと一緒に調理室へ歩く。

 ・・・一緒にというか囲まれている。それになんだかみんなの機嫌が悪い。理由はおおよそ察しが付くけど。


 「お前、また白川さんと同じ班じゃねぇか」

 「まぁ・・・確かに」

 「またお前だけいい思いしやがって」

 「俺も白川ちゃんの作ったご飯食べたい!」

 そう、事前に家庭科担当の教師から通達された班分けでは俺と白川は同じ班だった。

 「俺が決めたわけじゃないんですけど・・・」

 「知るか」

 「帰れ」

 「もうお前船降りろ」

 ひどい言われようである。でも実際俺はいい思いをしていると思う。俺だって白川と同じ班なのは嬉しい。また白川の美味しいご飯が食べられるなんて、まさに僥倖だ。でもそんなことを言おうもんなら即リンチだ。ここは尤もらしいことを言ってごまかそう。

 「でも逆に考えてみろよ。もしお前らと白川と他の女子が同じ班になったらどうなってたか。もう他の女子から直接何かされるということはないだろうが、お前らかなり気を使うことになるぞ?」

 「うーーん・・・」

 鈴木はなんとも言えないというような唸り声を出す。他のやつらも微妙な顔だ。

 半分納得行っていない、という感じだがこれ以上の追求は逃れられた。というかそもそも俺が追求される覚えはないんだが・・・。

 「まぁいいじゃないか・・・」

 みなまで言わないが、含みのある言い方をしておいた。

 「まぁな、他にも当たりはいるよな」

 「よく考えたら女の子が作ってくれたご飯なら誰のでも嬉しい!」

 「・・・お前ら今みたいなこと絶対女子の前で言うなよ」

 が、こいつらは俺が言葉を濁したことをズバズバ言ってくる。

 うーん、こいつらが女子になかなか許されなかった一因を垣間見た気がした。





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