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俺だけがいる世界  作者: 北野こち
第9章 答を出すには早すぎる
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176. ラブコメマシマシ体育祭編 完



 閉会の挨拶の後、色別の順位が発表された。

 結果はと言うと俺たちの色は1位だった。特になにかもらえるわけでもないが、どちらかというと嬉しいという感情を持った。


 閉会式が終わり、浮ついた雰囲気の中、解散となった。


 周りでは多くの人がグループになって離したりスマホで記念撮影をしたりしていた。

 そんな景色を横目に俺はクラスのテントに一直線に歩く。

 「お前も帰るか?」

 クラスのテントに戻るとそこにいたのは1人。帰宅の準備をしていたのは北本だけだった。


 「いえ、写真を獲るためのスマホを取り」

 訂正、帰る気でいたのは俺だけだった。

 「というかこれからクラスの集合写真を撮るんですから帰っちゃだめですよ」

 「あ、そうなの」

 訂正、俺も帰れなかった。



 担任や保護者たち(俺の母親含む)のスマホのカメラが一斉に向けられる中、俺たちは写真を撮られまくった。慣れない経験でなんとも言えない気持ちになった。


 「斉藤、写真撮ろうぜ」

 集合写真タイムが終わると隣にいた男子たちにそう声をかけられる。


 「ど、どうした」

 なんでこいつらが俺と写真を撮ろうなんて言い出してるのか検討もつかなかった。俺たちそんなに仲良かったっけ?てかさっきの借り物競走の件を考えると、むしろより俺にヘイトが溜まってると思ってた。


 「お前、女子に俺たちのこと言ってくれたらしいじゃん」

 ああ、そう言えばムカデ競走の後に少しそんな話をしたような。

 まぁ言ったって言っても大したことは言ってない。男子が許されるためにちょっと頑張ってるらしいみたいなことをちらっと言っただけだ。


 「そういうわけで、ほら」

 高橋は自分のスマホを近くの女子に渡す。

 まさか俺がこいつらの中心に立って写真に撮られるなんて夢にも思わなかった。

 「だけど借り物競争でお前だけいい気分になってたのは許さねぇからな」

 やっぱり許されてなかった。

 そのあともだるい絡みをされたが、不思議とそこまで嫌な気分にはならなかった。


 男子のリンチから抜け出しいよいよ帰宅するためテントに戻ろうとするとまた声をかけられる。

 「ねぇ斉藤写真に撮ろう~」

 「え、俺と?」

 「うん、せっかくだし~」

 「ちょ、ちょっと・・・」

 何がせっかくなのかはわからないが俺はその女子にクラスの女子が集まるところに連行される。


 「お、来たなモテ男」

 「ほら、白川ちゃん旦那来たよ」

 「あ、斉藤くん・・・」

 文化祭のときに散々経験したアウェー感を再び感じることになるとは。


 「わたしとも写真とろ~~」

 クラスの女子に続々ツーショットを撮られる。もしかして俺ってなんか女子になめられてるのか。珍獣的な扱いだろこれ。

 「ほらほら白川ちゃんも」

 白川が最後に回ってくる。


 「お、お前も撮るの?」

 「・・・さ、斉藤くんがよろしければ」

 そんなこと言ってはいるがこいつも満更でもなさそうだ。


 「ほら斉藤~嫁を抱きしめろ~」

 品のない野次が飛んでくる。というか別に俺と白川はそんな関係じゃないし。


 「ってなんでお前は俺の手を持ってるんだ!」

 「他の子と同じ写真じゃ、私、やです」

 「えぇ・・・」

 白川は俺にしか聞こえない大きさの声でそんなことを言ってきてさすがに声が出てしまった。どうしちゃったの白川さん。


 「ちゅーしろちゅー」

 野次の内容がひどくなっていく。サマーウォーズの最後かよ。

 ここで時間を使うのは得策ではない。

 「わかったからスマホ貸せ」

 「わっ」

 俺は素早く白川のスマホを取り、左手で自分の方に白川の肩を抱き寄せながら右手でシャッターを切った。

 「ほら!これでいいだろ」

 白川にスマホを押し付ける。

 俺は返事を聞かずその場から立ち去った。



 「たまに白川ってよくわからないことを言い出すんだよな・・・」

 そんなことを思いながら再びテントを目指し歩き出す。

 「まーさくーん!!!!」

 あぁ、この声は。

 「一緒に写真撮ろ~~~」

 やっぱり佐々木だった。


 「女子高生って写真大好きなんだな」

 「そりゃやっぱり思い出残したいしね」

 「そういうもんか」

 「ほら横に来て」

 「ほいほい」

 前撮ったじゃんと思ったがそれを言うのは野暮だというのはさすがにわかる。こういうのはこのタイミングで撮るから意味がある。


 「えへへ~」

 佐々木のスマホには満面の笑みの佐々木と下手くそな笑みを浮かべる俺が映っていた。

 まぁ佐々木が満足ならなんでもいい。

 「あ、順ちゃんだ。順ちゃーーーーん」

 佐々木が順を呼び寄せる。


 順は借り物競争のときよりも素早く俺たちのところに来た。

 「写真とろ~」



 ・・・。

 結局俺はそのあとスリーショットと順とのツーショットを撮った後ようやくテントに戻れた。

 ・・。

 荷物を持ってグラウンドの出口に向かおうとする。

 ・。

 くそ、ここまで来ると北本とだけ写真を撮らずに帰るのはなんだか気持ちが悪い。


 でも能動的に探すのもなんか癪だ。ちょっと探して見つからなかったら帰ろう。

 そう思ってあたりを見渡すと委員長と話している北本が見つかってしまった。

 ・・・・・・。


 俺は足早に北本に近づいた。

 「おい」

 「な、なんですか」

 北本は驚いたようだ。


 「い、いや、帰ろうと思ったんだが、お前以外とはみんな写真撮ったのにお前とだけ撮らないで帰るのはなんだか気が引けて」

 「・・・つまり私と写真を撮りたいということですか」

 「うっ・・・ぐっ・・・ま、まぁ平たく言えばそういうことかもしれない」

 そう言われるととても悔しい。

 「も、もう仕方ないですね~」

 そんなこんなで俺の長い体育祭は幕を閉じたのだった。








 「・・・・・・・・・」

 夜、色々な人から今日撮った写真が送られてきた。


 「もう少しうまく笑えないもんかなぁ」

 我ながら自分の写真写りの悪さに悲しくなってしまった。なんという引きつった笑い方。女子たちの貴重なストレージが俺の気持ち悪い笑顔の写真で埋まっていると思うと申し訳無さすら覚えた。



 「・・・・・・」

 だけどやっぱりこいつとの1枚は自然に笑えているように見えた。



 長い長い体育祭が、終わった。

 そう思っているうちに寝落ちしてしまった。この日はいつになくぐっすりと眠れた俺だった。

 


今年の更新はこれが最後です。

来年もマイペースに話を書いていこうと思います。

お付き合いいただける方は来年もよろしくお願いいたします。

良いお年を!

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― 新着の感想 ―
[一言] いつもありがとうございます すべてのヒロインが可愛くてある程度正解があるのを知っているので少し残念ですね。
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