171. Case1: 佐々木南の場合
楽しそうに走る佐々木についていく。さっきの平岡とは違い、佐々木のほうが走るのがはやいのでついていくが大変だ。
先程と同じ流れで佐々木が紙を渡し、委員長に審判される。
「やったー」
いぇい、と言いながら佐々木に促されてハイタッチする。人生ではじめてしたわハイタッチなんて。陽キャか?テニサーか?
今度は1と書かれた旗の近くに腰を下ろしてはずんだ息を整える。
息が落ち着いたところで例の質問を佐々木にする。
「お題、なんだったんだ?」
さすがに気になるよね、正直。
「うーーん」
・・・しかし佐々木は「どうしよっかなぁ~w」というような表情を浮かべながらすぐに答えようとしない。
しまいには、
「お題、なんて書いてあったと思う?」
なんて言い出す始末だ。なにそのめんどくさい女がやる「何歳ですか?」って聞いて「何歳に見える?」みたいなやつ。
・・・。
さっきクラスの女子が言っていたことが脳裏をよぎる。
まさか。まさかな。いや、こいつなら・・・。
ちらりと佐々木の顔を見る。
こちらを見てニヤニヤしている。
・・・多分、違うな。
すでにゴールした他の走者を見渡す。さっきの平岡のときのお題よりも楽しそうに喋っている人が多いように見えた。
となると・・・。
「同じ部活とか?」
「なーんだつまんない」
どうやら当たったようだ。
佐々木の表情から好きな人と答えさせたがっているのがわかったから逆にその選択肢はないと予想した。加えてそんなお題はこんな前半には出さないだろうと推理した。
そうなると一番ありそうなのは無難な部活関係あたりだ。なんせうちの高校は何かしらの部活に属さなければいけないというゴミみたいな決まりがある。それはつまり生徒全員が部活に属しているということ。これは借り物競走のお題にはもってこいだろう。
「よくわかったね」
つまらなそうに言う佐々木。
「まぁ真実はいつもひとつのアニメもじっちゃんの名にかけてのアニメも全話見てるからな」
「?」
佐々木はきょとんとしている。推理を学んだアニメを遠回しに言ったのだが通じなかったようだ。すぐにアニメのネタを言ってしまうのが僕の悪い癖。
「でもまぁもしお題の紙に違うことが書かれいたそしても、わたしはまさくんを選んだと思うよ」
「・・・」
俺に聞こえるか聞こえないかの声量でぼそっとそんなことを言うが俺はどう返答するのが正解なのかわからず黙ってしまった。
「話は変わるけど、今年もちゃんと入ってるらしいよ、好きな人ってお題」
「話変わってないだろそれ!」
「わたしさっき『違うことが書かれてても』としか言ってないけど」
「・・・」
完全に墓穴をほった。
佐々木はさっき以上ににやにやしてやがる。悔しいが何も言い返せない。
「じゃあな!」
そんなださい捨て台詞を言って俺は逃げるようにクラスに戻ったのだった。




