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俺だけがいる世界  作者: 北野こち
第9章 答を出すには早すぎる
174/241

170. ※(ネタバレ)次回以降も毎回連行されます




 「クラスで席が隣接している人」

 「なるほど」

 ・・・・・・なるほど。


 指名されてから今まで俺と横に座っている彼女との接点を考えたが全然わからなかった。

 だが、なるほどクラスの座席か。これは盲点だった。それこそまさに接点と言うにふさわしい。彼女を席が近い人と認識していたのに全く思いつかなかったのは情けない。

 そう、本来俺という人間はその程度の認識が正しいはずだ。同じクラスのやつ。席が近いやつ。そんな物理的と言うか事実そのままの認識でいいのだ。


 ・・・それにしても最初から確かに人がお題だったな。さっき後ろの女子が言っていたとおりだ。まぁ最初たまたま俺に合うお題だったが、これからはそんなことはないだろう。むしろ早いうちに順番が回ってきてよかったまである。

 そう思いながら平岡と別れ、元いたクラスの集まりに足早に戻った。



 「・・・」

 治安の悪そうな雰囲気を漂わせている人が数人いるが、それを見ないふりをしてさっきまで座っていたところに再び腰を下ろす。

 「・・・なんだよ」

 瞬間、男子たちがさらに鋭くなる。

 「お題、聞いたか」

 「席が隣の人」

 端的に答える。

 「──そうか」

 さっきまでの殺意は薄まった。おそらく答えを間違えていたら俺の命はなかっただろう。




 手持ち無沙汰でついスマホを取り出そうとする手をなんとか抑えつつ次のレースを待つ。それにしてもこの借り物競走、注目度がすごい。最後の種目と言ってもいいレベルで多くの人が観戦している。お題もお題だし花形の種目なのかな。

 程なくして第二レースの走者がスタートラインに立つ。

 さてさて知り合いはいるかなとスタートの構えを取る走者の並びを見つめる。

 「お」

 小さく声が出た。

 遠くからでも誰だかわかる人がひとり立っていた。あの髪とあのシルエットは佐々木だ。


 ピストルの音が鳴る。

 一応敵という扱いなのだろうが、心のなかでは(クラスの女子には申し訳ないが)佐々木を応援していた。

 それもあって、目では自然と佐々木を追っていた。

 だからわかった。佐々木が一目散に俺に向かっていることが。

 はぁ・・・とため息が出そうだったが、そんなことをしたらリンチに遭うのでなんとかこらえて覚悟を決める。


 「まさくん!」

 「・・・」


 頭上から俺の名を呼ぶ声が聞こえる。案の定佐々木は俺の目の前で止まった。

 今回は横からの視線だけでなく背後からも視線が突き刺さっていることが感じ取れた。そりゃそうだ。こいつは半年くらい前に俺のクラスで盛大にやらかしている。

 ふぅ・・・。

 しかし拒否するという選択肢はあるわけもない。覚悟を決めていた俺は素早く立ち上がりその場から逃げるように去った。


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