169. 仁義なき戦い
ぞろぞろと出場する生徒が入場してくる様子をあぐらをかき、頬杖をつきながらぼーっと眺める。
その黒山の人だかりの中には確かによく見知った顔が混じっているのが確認できた。
「どんなお題なんだろうね」
後ろで見物しているクラスの女子の話が聞こえてくる。
「部活の先輩に聞いたんだけど、うちの借り物競争はお題が人のことが多いらしいよ~」
へぇーという心の声が聞き手の女子の声にかぶる。なるほど、だからこの借り物競走は観戦が半強制されてるのかな。
「それって好きな人とかもあるのかな?」
「あるんじゃない?」
「えーーw」
ほう。なるほどなるほど。なるほどなるほどなるほどなるほど。
「・・・」
「ふぅ・・・」
隣の男子を見る。こいつらも後ろの女子の会話が聞こえていたようだ。
「なぁ」
俺はまるで高温のサウナにでも入っているような険しい顔をしている男子に話しかける。
「お前らが気合入ってるのって・・・」
「言うな、それ以上は──」
「────っ」
話しかけても彼らの目線はトラック中心の女子の集団から一切動かなかった。なに真剣なオーラ出してるんだよ。
「──そろそろか」
「──ああ」
戦士、もとい男子たちの目が変わる。そろそろ第一レースが始まるようだ。って別にお前らは戦わんだろ。
ピストルの音とともに第一レースの走者たちが一斉にお題箱に向けて走り出した。
歓声とBGMの天国と地獄が一段と大きくなる。
はじめのお題はなんだろうか。
俺の視力でもわかるくらい走者が近づいてくる。
あ、うちのクラスの第一走者は俺の後ろの席の女子か。名前は・・・えーと、なんだったっけ。覚えたはずなんだけどなぁ・・・。
彼女は一目散にこちらに走ってくる。そのときに(平均的な大きさに見える)胸の名前を見る。あぁ平岡ね。確かに言われてみればそんな名前が名簿にあったような気がしないでもない。
そして息を切らしながらクラスの集団の前で止まった。どうやら最初のお題は人のようだ。
「さいとう、くん、来て」
膝に手を付きながらそんなことを言う。
「え、俺?」
「はやく!」
そう言われたなら仕方ない。隣の男子を決して見ることなく立ち上がって彼女についていく。
彼女のペースに合わせて小走りでゴールを目指す。
ゴールに立っている審判?役の委員長に紙を渡す。
「OKです」
なにかわからないがOKのようだ。
俺たちは2と書かれた旗の近くに座る。
「えっと、お題なんだったの?」
さすがに気になったので隣に座る平岡に聞いてみる。
「えっと・・・」
え、まさか、最初からそんなハードなお題なの・・・?
「クラスで席が隣接している人」
・・・・・・なるほどね。




