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俺だけがいる世界  作者: 北野こち
第9章 答を出すには早すぎる
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158. 体育祭などという陋習は即刻廃止せよ

 「はぁ」

 カーテンを開けて外の景色を見た俺は大きなため息をつく。どうやら雨乞いは効き目がなかったようだ。

 観念してベッドから降りる。

 外はしっかり秋めいた10月の中旬。

 俺はいつものように制服に着替え・・・ずに、朝から体操着に着替えていた。

 そう、今日は運動会、またの名を体育祭の当日である。

 昨日の夜から必死に雨乞いをしたにも関わらずその念は天に通じることはなく、空はすっきりとした秋らしい晴れ模様だ。

 「・・・」

 何もしゃべることなく大して興味のない流行の食べ物を紹介している朝のテレビを見ながら黙々と朝ごはんを食べる。

 そもそも高校生にもなって体育祭があるというのが間違っているだろと俺は強く思う。

 やってもいいが強制参加ではなく、やりたい人だけやればいい。

 えてして体育祭とは、運動系の部活の人、特にそれに属する男子がイキり散らかすだけのイキリのイキリによるイキリのためのイベントである。

 彼らが運動できるのはそれは結構である。だが、そのせいで俺の運動音痴が浮き彫りになることが迷惑千万なのだ。

 幸いうちのクラスの男子たちは、この体育祭を落ちに落ちた自身の株を上げるチャンスと捉えているらしく、はりきって激しめの競技に立候補していた。

 おかげで俺は玉入れや綱引きなど、目立たない上に責任が分散されているまさに陰キャのための競技があてがわれた。

 だが、運営側はそういう目立たない競技は観客の盛り上がりきっていない午前のうちにさっさとやってしまおうという思惑らしく、目立たない競技専門家の俺の出番は見事に午前に固まっていた。

 つまりどういうことかと言うと、今日はとにかく暇な時間が大量に生まれると予想できるのだ。

 しかも体育祭の間はずっと屋外と来た。別に紫外線を気にするとかではないのだが、屋内と屋外どっちで時間を潰したいかと言われたら、それは屋内だ。

 しかも体育祭全体は授業中という扱いのためスマホの使用は(名目上)禁止とかいうゴミみたいなルールがあるらしい。はっきり言って終わっている。

 さすがにそんな陰キャ殺しのクソルールには付き合えないため俺はスマホを体操着のポケットに忍ばせる。どこかしらグラウンドに影となるスペースがあるだろうという希望のもとである。

 ご飯を食べ終わって出発の準備をする。

 「じゃあ行ってくるわ」

 「は~い、じゃあ後でね~」

 「・・・ほんとに来るの?」

 「うん、どうせ暇だし」

 「できれば来てほしくないんだけど」

 「でも他のお母さんとも挨拶したいしー」

 「まぁいいや」

 ほんとは来てほしくないが、こういうところで変に突っかかると母親の機嫌が悪くなるというのはよく知っている。

 そう、この親が見に来るシステムが有るのも体育祭が嫌いな理由の一つである。特別すごい反抗期とか親子間に問題があるとかそういう訳ではないがさすがに高校生ともなると幾ばくかの恥ずかしさがある。


 「はぁ」

 登校しながらもため息が漏れる。

 今からでも雨降ってくれないかなぁ。

 しかし空はとても雨が降りそうにない晴れ方をしている。期待はするだけ無駄そうだ。

 ここまで来たらその期待は捨てて、どう暇をつぶすかということに本気になろう。

 そう決心して集合場所のグラウンドの方に進んでいった。

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