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俺だけがいる世界  作者: 北野こち
第9章 答を出すには早すぎる
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151. ボウリングのガターって絶対ガーターの方がしっくりくるよね



 「で、次はどこ行くんだよ」

 空気を変えるために思わぬ方向に進んでいた話題の転換を図る。

 「次は、ここに行きたいのですが。」

 北本がスマホを見せてくる。そこに表示されていたのはボウリング場兼ゲームセンター兼色々なスポーツができるスペースを備えたあのお店だった。

 「ボウリング?」

 「ご経験はあります?」

 「そりゃあるよ。・・・もしかして」

 「えぇ・・・」

 なかなか珍しい気もするけど、同級生の他のサンプルがないから案外そういうものなのかもしれない。

 「じゃあすぐ行こう。おもしろいぞ、ボウリング。」

 ボウリングか。久しくやってなかったが子供の頃はよく家族で行っていたっけ。

 「あ、あのっ・・・ちょっと・・・」

 不意に北本にシャツを引っ張られる。

 「あ、すまん」

 久しぶりのボウリングでテンションが上ってしまって早足になってしまった。

 そのせいで北本が雑踏に巻き込まれてしまったらしい。しまった、デートの時は女子の歩調に合わせないといけないという先行研究(漫画&ラノベ&アニメ&ギャルゲー)から学んでいたのに失念していた。

 ・・・。

 しかし先行研究ではこの後の適切な対処についての記載もあった。

 それを実行すべきなのだろうか。

 ・・・。

 わからんが俺が頼れるのは先行研究しかない。恥ずかしいが実行に移そう。


 「ほら」

 俺は顔を背けながら手を差し伸べる。

 「掴まれよ」

 ほんとにこれでいいのか先行研究。

 「・・・・・・」

 恥ずかしくて北本の顔は見れない。でもゆっくりと俺の手を握ってきたからまぁ大外しということはないと信じることにしよう。




 土曜日ということもあり結構混んでいるようだが、運良くそんなに待たずして俺たちのレーンが用意された。

 「まずは靴を取るんですよね」

 少し浮かれ気味な北本が靴が出てくる自動販売機のような機械が並んでいる方を指差す。ところでなんでボウリングの靴ってこういうシステムで貸し出されるんだろう。この機械ってボウリングの靴貸出のときしか見ないよな。

 「ああ」

 きっと北本のことだからラーメンのときと同じくネットかなにかで予習してきたのだろう。よかった、今回のソースは信頼できるもののようだ。

 「斉藤くん、私はどれくらいの重さの球を使うのが良いのでしょうか。」

 靴を履き替え次は使用する球の重さを選ぶフェーズに移行したが、思わぬ質問に返答を窮する。女性用の球が並べられているコーナーに来たはいいものの、重さは結構な幅がある。

 「どれくらいなんだろう」

 昔家族で来た時母と妹がどれくらいを選んでいたかを懸命に思い出そうと試みるが、さすがに思い出せる気がしない。

 「一般の女子はどれくらいなのでしょう」

 「さぁ、女と来たこと無いから知らねぇ」

 「そ、そうですよね」

 ・・・。

 「まぁ色々試してみればいいんじゃない?」

 そう言いながら俺は適当に目の前にあった11ポンドの球を渡す。

 というかこれこそ予習しておけよな。

 「11ポンド・・・だいたい5キロくらいですか・・・」

 「・・・」

 どうやら北本の使う球は決まったようだ。

 ・・・。

 いや、ポンドとキログラムの変換できるのすご。


 レーンに戻りいよいよボウリングが始まる。

 「ルール、わかる?」

 といってもボウリングにルールと呼べるものがあるのかわからないが。

 「点数計算が曖昧ですがプレーは問題ないです」

 麻雀みたいなこというなお前。でも言いたいことはよくわかった。

 「大丈夫俺もよくわかってない」

 ストライクが続いたときの扱いは俺もわかってない。なぜならそんなにストライクが続くことがないからだ。

 「じゃあ投げますね」

 北本の第一投が投じられた。

 「あ」

 無情にもその球は横の溝に落ちてしまった。

 「ガーターでした」

 まぁはじめてはそんなもんだろう。

 受付で申し込む際、ガーターを無くすオプションを選択するか聞かれたが、北本がそれを断っていた。いくらはじめてと言えど、そんなゆとり仕様の甘っちょろいゲームはしたくないらしい。なんともストイックな女である。

 「いや、初めにしては結構よく投げれてたと思うぞ」

 「次までに修正します」

 「ははは、そんなビジネスみたいな」

 北本の真面目なコメントに思わず笑ってしまう。北本は真剣に今の投球を頭の中で振り返っているようで真剣な顔をしていた。

 「よし行くわ」

 次は俺だ。なんの意味があるかわからないが空気が出てくるところに手をかざして15ポンドの球を手に取る。この感覚久しぶりである。

 えっとこの線までに投げるんだよな。

 ・・・。

 「あ」

 ボールが手を離れた瞬間にわかった。

 スコアボードに書かれたGの文字を一瞥しながら座っている北本のところまで行きすぐさま一言言った。

 「次までに修正します」

 俺の言葉に屈託なく笑う北本だった。


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