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俺だけがいる世界  作者: 北野こち
第9章 答を出すには早すぎる
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136. 平日の1日と休日の1日って絶対同じ長さじゃないよね



 週が明け、なんとなく憂鬱さを感じながら登校する。

 憂鬱さを感じる理由は主に2つある。

 ひとつは言わずもがな月曜日であるからである。

 すべての始まりにして絶望の始まりである月曜日。これからの長い平日5日間の始まりのゴングであるところの月曜日が好きな人がいるはずがない。

 働いている人はもちろん、ニートですら月曜日はあまり好きではない。

 なぜなら休日なら外出しようが家でごろごろしていようが、世間も休みの日であるという言い訳ができる。堂々と休んでいても罪悪感がない。

 対して月曜は社会が動いているということを否が応でも感じてしまう(主に朝のニュースで)。

 そんな月曜日を好む人間は存在しているだろうか、いや、いるわけがない。

 「・・・。」



 しかし憂鬱さの主たる原因はこれにある。

 教室へと続く廊下を歩きながらスマホの文字を読む。

 画面には白川からのメッセージ。


 『月曜日、私たちは北本さんと佐々木さんに誕生日プレゼントを渡そうと思っています。 ※返信不要』


 国語のできない俺でもわかる。この文の真の意図は『私たちはプレゼント渡す予定でいるからお前も用意しておけよ』ってことだろ?

 わかる。とてもよくわかる。

 しかし決定的にわからないことがある。


 女子へのプレゼントって何を渡せばいいの?



 メッセージが届いたのは土曜日の昼である。

 金曜日の時点で月曜日に北本・佐々木の合同誕生会をするという話が出ていた。

 俺はメッセージを読んですぐに検索窓で「女子 プレゼント」と検索した。

 残念ながら俺の脳内には女子へのプレゼントに対する最適解を持ち合わせていなかった。

 こうなっては集合知に頼るほかない。こちとらデジタルネイティブ世代である。わからないことがあればすぐに検索するスマホ脳である。勇ましく情報の海にダイブしようではないか。


 ・・・。

 それから30分は経ったであろうか。

 俺は途方に暮れてスマホをベッドに放り投げていた。

 あるサイトを見ればアクセサリーが良いと書いてあり、あるサイトにはアクセサリーは良くないと書いてある。

 あるサイトには気持ちさえこもっていればよいと書いてあるが、あるサイトには不要なものをもらっても迷惑でしかないと書いてある。

 なにが集合知だ。なにが情報の海じゃ。なにがデジタルネイティブ世代か。

 俺は静かにスマホを取りに行ってポケットに入れた。

 まぁ、日曜日になったら日曜日の俺が解決してくれるだろう。

 そうして土曜日はたまったアニメを見るだけで終了した。


 

 そして来る日曜日。

 さて日曜日の俺は土曜日に期待したような仕事をしてくれるだろうか。

 もちろん答えはNOだ。

 いつもどおり昼過ぎに起床して土曜夜の一部と日曜朝のアニメを視聴し、適当に飯を喰らい、適当に風呂に入って、適当にネット麻雀をして、適当にしこって、適当に寝た。

 ただ、それだけの日曜日だった。

 ・・・。

 要するに俺はプレゼントのことをすっかり忘れていた。



 思い出したのは今日、つまり月曜日の朝に家を出ようとしたそのさなかであった。

 なんとなく今日は何かあったかなぁなんて考えながら靴をとんとんしていた瞬間、俺に電撃が走った。

 俺はすべてを天に任せる決心をした瞬間だった。


 教室に入る。

 ・・・ああそうか席替えをしたんだった。

 教室に入った瞬間の違和感の正体に気づけたおかげで座る席を間違えずに済んだ。

 正しい席に座る。

 多分白川はすでに席についていたと思う。

 しかし今日の俺にはそちらに視線を向ける勇気はなかった。


 「・・・・・・」

 しかし改めて考えてみるとこれは必然だったように思えてきた。

 きっと日曜日に俺の脳内からプレゼントの5文字が消失した理由はおそらく防御本能のせいなのだ。

 はっきり言って、きっとこの問いに対する答えは今の俺の技量では永遠に導き出せなかったと思う。

 8月31日まで本気で宿題を忘れるアレと原理は同じなのだ。知らんけど。


 俺は玄関でした決心を思い出す。

 こうなれば取れる選択はただひとつしか残されていない。


 俺は一番使っていない国語のノートの後ろのページを一枚破った。

  


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