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俺だけがいる世界  作者: 北野こち
第9章 答を出すには早すぎる
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135. なんてコトない毎日が かけがえないの



 「こんな風にゆったりできるのもなんだか久しぶりです」

 お茶を飲んでくつろぐ白川。

 放課後、白川も揃い我らの部活は本格的に活動再開となった。本格的にと言ってもお菓子を食ってだらだら喋るだけなんだけどな。当初はもう少しなんかやっていた気がするがきっと気のせいだろう。


 「聞いたよかおりちゃん、文化祭で学校中の男子を手玉に取ってたんだってね。」

 「ちょ、ちょっと誰がそんなことを。」

 順の誤解を招きそうな言葉に危うくお茶おこぼしそうになる白川。


 「ああ、ここだから言えるがすごかったぞ。生徒だけじゃなく父兄や教師までこいつのメイド服を拝みに来てたからな。」

 「斉藤くん!」

 茶化す俺に怒っている白川。こんな面白い話、しないわけにはいかない。

 「わたしもクラスからちらっと見たよ!なにかイベントとかやってるのかなと思ったけど、あれ全部かおりん目当てだったんだ・・・」

 「ああ、しかもずっと行列できてたからな。何事かと思ったわ。」

 「もうやめてください!」

 「いいじゃん事実なんだし。」

 「もぅ・・・」

 ぷんぷんしている白川が面白くてつい調子に乗って色々話してしまう。

 「つまり斉藤くんも来てたってわけですよね。」

 「あ」

 調子に乗るべきではなかった。

 「い、いや、混んでるからなにかな〜って思っただけで・・・」

 なんとか弁明する。

 「結局斉藤くんもそのへんの馬鹿な男とおんなじってわけですか。」

 「・・・」

 さっきまでの和やかな雰囲気から一点、非難の目線を浴びる俺。

 「なんだよ、いいじゃん。知り合いの女子がメイド服着てるなんてかなり萌える展開だろ。」

 「「「・・・・・・」」」

 弁明をするも逆効果。しかも焦りからか萌えとか一般ピープルが使わない言葉もつい出てしまう。

 「私が接客しているときに見られなくて助かりました。」

 北本が冷めた調子で言う。ここまでくればもう自棄だ。北本に捨て身の反撃をお見舞いする。

 「言っとくがお前が接客してるときも見に行ったからな。」

 なんてったって北本のシフトがほぼ白川と一緒だったからな。しかし恥ずかしがりながらも真面目に接客する北本の姿はなかなか見応えがあった。

 「・・・知りたくありませんでした。」

 「なんだよ、かなり似合ってたから褒めてやろうと思ったのに。」

 「べ、別に斉藤くんに何か言われてもなんとも思いませんが。」

 なんだそのテンプレツンデレは。でもこいつの場合は単に拒絶してるだけって可能性がかなりあるからなんとも言えない。

 



 「で、今日から何する?」

 文化祭の話も一段落し、2ヶ月ぶりくらいに弊部活の恒例である「今日何して時間潰すかを決めようの会」が始まった。

 「そうですね・・・なにか案はありますか?」

 「得にはないなぁ」

 「うーーん」

 「・・・」

 俺、佐々木、順は特に案はなかった。


 「とりあえず大富豪でもします?」

 「まぁイベント明けにはそれくらいがちょうどいっか」

 「あ、始める前にお茶淹れてくるね」

 と、いつものゆるい感じで今日のゲームが決まった。



 「わぁ、ほんとにこんな感じなんだね・・・」

 トランプを切っていると順が驚きながらそうつぶやくのが聞こえた。

 「ん?あぁ、そういえば順は学校始まってからの部活は初めてか」

 「うん」

 「まぁいつもこんな感じだ。」

 なんか部活動開始当初はもう少し目的があったような気がするが今や活動内容はただのまったりボドゲ部だ。


 「・・・でも、こういう時間が一番楽しいんだよね、多分」

 「そうかもな」

 俺もそう思う。


 「さぁやるか。北本は・・・やらないみたいだし、とりあえず四人で」

 大富豪をやりながら目の前の風景を咀嚼する。

 ようやく失われた日常が帰ってきた。

 文化祭もまぁ今となっては充実感があったなと思うが、やはりこの日常こそが一番安心する。

 みんなが自然体で話し、自然体で笑う。

 この風景が俗に言う「なんでもないようなことが幸せだったと思う」ってやつで、「なんてことない毎日がかけがえないの 大人はそう言うけれどいまいちピンとこないよ」ってやつなんだろうな。多分。

 

 

 あ、ちなみに北本もいつもどおり始まってすぐに途中参加してきました。

 もう最初から参加すればいいのに・・・。

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