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俺だけがいる世界  作者: 北野こち
第8章 間違う季節の過ごし方
128/241

124. Distortion

 今一度文化祭の白川に対して俺が感じていた違和感について順序立てて考え直す。


 まず事の発端は昨日朝の異常な混雑だろう。

 昨日の時点でこれに対する仮説は立てていた。

 客の時間を気にしていた素振りから、客が押し寄せた理由はあの時間であることに意味があるとわかる。

 そして"彼女"が登場した瞬間の反応。


 十中八九混雑の原因は白川だ。


 なぜ客が白川のシフトの時間を知っていたのかは不明だが、明らかに白川があの時間に接客することを知っていた様子だった。



 次に引っかかったのはクイズ大会の後、白川が足早にクラスに戻っていた点である。

 今思えばあの時からすでにシフト表にない時間にも白川は働いていたのだろう。

 ではなぜそんなことをしているのだろうか。

 一番に考えられることはシフトを変わってくれと頼まれたというパターンだろう。

 これだけのことならなんら変なことはない。そんなことはしばしば起こりうると想像できるし、お人好しの白川ならきっと眉一つ動かさず快諾するだろう。


 問題は昨日の午後最後まで白川が帰ってこなかったことと今朝も働いていたというところにある。 

 いくらなんでも白川ひとりに対する負担が大きすぎやしないだろうか。

 シフト表を見ると生徒ひとりに割り当てられているシフトの数はせいぜい3つである。

 しかし現状白川が入っているシフトは少なく見積もっても昨日の午前、午後2~3つ、今日の午前である。

 それにグループの返信から推測するにどう考えても他の生徒の倍は働いていることになる。

 どう考えても白川の仕事量がおかしい。

 そんな事態がなぜ容認されているのか。まかり通っているのか。



 ・・・。

 この違和感についてもっと早く気付くべきであった。

 考えれば考えるほど変ではないか?

 なんで白川はこんなにも働いているのか。そして誰もこのことに声を上げないのだろうか。

 今思うと午前の様子も変だった。

 昨日に比べて今朝の人が少ないように見えたが、よく考えたらそんなことは起こり得ない。

 なぜならシフトに入っている人の数は昨日と同じなのだから。

 なんでシフトに入っている人がいないのに、シフトにない白川が当然のように働いていたのか。

 単なる違和感で片付けるべきではなかった。俺はこの事態をもっと重く受け止めるべきであった。

 


 ・・・。

 第一シフトを変わってくれという頼みはもともと白川が入っていたシフトを自分が肩代わりするものではないのか?

 今の白川の働きっぷりを見るに、そのような様子は見られない。一方的に他の人の仕事を請け負っている。


 これではまるで他の女子が白川に仕事を丸投げしているようなものである。




 ・・・。

 本当にそういうことなのか・・・?

 今、うちのクラスでは本当にそのような事態が起こっているのか?


 必死にこれを否定する根拠を探す。

 しかし今朝の様子はむしろこれを肯定するようなものではなかったか?


 ・・・。

 くそ、なんでもっと早く気付かなかったのか。

 とにかく北本に連絡しよう。

 ・・・いや、あいつは今クラスにいるはずだ。携帯を見ている暇はないだろうし直接行ったほうが早い。


 そう考え直してスマホをしまおうとした瞬間、スマホが連続で震える。

 「え」

 俺はその送り主に驚く。


 だがそんなことに驚いている暇はない。

 なによりそのメッセージに対してとても嫌な予感がした。

 急いでメッセージを開く。

 「・・・くそ!」

 内容は不幸にも俺の一連の考えを裏付ける最悪のものだった。









 

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  From : 伊集院

  白川さんが倒れた

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