120. メインヒロインさん何週間怒ってるの?
「じゃあ・・・Aで」
「残念でしたね。」
体育館の端でうなだれる俺を北本が珍しく慰めてくれる。
「しょうがないよ。みんなわからなかったんだもん。」
佐々木もうなだれる俺の頭を撫でてくる。冷静に考えれば別にそこまで悪いことをしたわけではないということはわかっている。
「悪い」
しかし俺は謝らざるを得なかった。
さっきの問題の答えはBだった。
つまり戦犯は俺である。
「まぁただのゲームですから、ね?」
さっきまでやる気でいた北本の姿を知っているがゆえにその言葉の優しさが沁みた。自分のせいで他の人が不利益を被る瞬間を見ると思ったよりも心に来るんだな。
「せっかくだしこれからみんなで文化祭見てまわらない?」
俺を元気づけてくれようとしてくれているのか佐々木がみんなで文化祭を回ることを提案する。
「そうだね!」
「異議なし」
「同じく」
「・・・俺も」
その提案を断る理由は特になかったのでその案に賛成する。
「ごめんなさい、私はクラスに戻らないと・・・」
しかし白川はメイドカフェの仕事があるようだ。
他の女子たちからはえーという声が漏れる。
「じゃあまた時間が空いたら教えてね」
立ち去ろうとする白川に佐々木はそう声をかける。せっかく全員集合したんだからきっとこれからみんなで文化祭をまわるという流れになると思っていたのだろう。実際俺もこんなふうな展開になるんだろうなとはクイズをしている頃からなんとなく思っていた。
「はい。もし時間ができればご連絡しますね。」
しかし本当に時間がないようで、結局最後まで俺と一言も会話することなく足早に俺達から去っていった。
女子陣がこれからの行き先を話している隙にスマホで時間を確認する。
ちょうど昼飯時だ。
なるほど、どうりで廊下の人出がクイズ大会前とは比べ物にならないほど増えているわけだ。
きっと我がクラスのメイド喫茶も繁盛していることだろう。
「まあくんどっか行きたいところある?」
「え?うーーん・・・」
油断していたところ話を振られ慌ててしおりを取り出し出し物のタイムテーブルをさっと見る。
「特にねえな。いいよお前らの行きたいとこで」
強いて言うなら1時間後にどこかの痛いオタクが企画したのであろうアニメ映画の上映会には少し行きたかったがこいつらを付き合わせるわけにはいかなのでもちろんそのことは伏せた。
「そう・・・」
母親に「ごはん何がいい?」と聞かれて「何でもいいよ」と答えた時と同じような雰囲気を感じた。順は俺に適当にどっか決めてもらいたかったのだろう。
「あ、そういやどっかでやってたマジックは面白かったし、行くところが決まらなそうならそこはおすすめよ」
「マジックですか、いいですね」
北本のお眼鏡にもかなったようだ。
「マジックショーが始まるまで時間あるしちょうどいいから適当に屋台でも行ってなんか食べようよ!」
どうやら行き先は決まりつつあるようだ。
どかしていたシフト表を1ページ目にはさみ直し、しおりを筒状にして無理やりズボンのポケットに差す。
あれ、そう言えば白川と北本って同じシフトに入ってなかったっけ?
どうして白川だけ忙しそうにしているのだろうか。
「ほら、なにしてるんですか行きますよ」
しおりのシフト表でそのことを確認しようかと思った時北本に急かされる。きっと屋台のあるグラウンドの方に行くことになったのだろう。
まぁいいか。出しかけたしおりを再び丸めてポケットに突っ込んだ。




