118. 当然のように女子に囲まれる気分はどうだ?
客引きの声につられて適当に入った2年生のマジックショーの意外な高クオリティに感嘆し、そのあと立ち寄った1回100円のダーツで全てはずして獲得した残念賞の缶のジュースを飲みながら開放されている食堂の椅子に座ってかれこれ30分近く時間を潰していた。
廊下をぼーっと見ていると定期的にメイド服姿の顔見知りが歩いてるを見かける。
なんでもこの珍妙な格好で歩く行為それ自体が宣伝になるということらしい。
宣伝効果はどうかわからないが目立っているのは間違いない。
再びシフト表を見る。
これを見る限りこれからしばらく北本のシフトはないらしい。というか北本と白川ほぼシフト被ってるのか。これは白川のご意向かな?
そう言えば北本は今なにをやっているのだろうか。
まさかメイド服姿で歩き回っているとは思えない。
いつもの行動から推測するにどこかの部屋で勉強してるか本を読んでいそうだが、さすがにお祭りの日にそんなことはしていないか。
しかしそう考えるといよいよ何をしているかわからない。
別に他意は無いがやることもないので北本がいそうな場所を探してみるか。そんなわけでしおりを開く。
よくよく考えてみると結構気持ち悪いことをしている気もしないではないが暇なので仕方ない。
「お」
今どこにいるかはわからないが、ひとつ北本が出没しそうなイベントを発見した。
俺は10分後それが始まる会場である体育館に向かった。
体育館に着く。
壇上の大きなスクリーンには『クイズサバイバル』の文字がでかでかと映し出されていた。
体育館の端の目立たない位置を見渡す。
やっぱりな、と心の中で思う。
体育館の柱の裏、俺もよく体育の時間に利用している通称ぼっちスポットにやたらメイド服姿が似合うあいつが隠れるように立っていた。
「よう」
そっと声をかける。
「わっ」
俺の声掛けに北本はびっくりしたようだ。
「ああ、いらしたのですか。」
「お前がいるかなぁと思って。」
「え、どういう意味ですかそれ。」
なんとも言えない顔をする北本。
「あ、いや、深い意味はなくて、暇だからお前のいそうな場所を考えてて。」
深く考えてなかったから素直に言ってしまったがやっぱり気持ち悪いことをしてたんだな。
「べ、別に私がどこにいようが斉藤くんには関係ないですよね。」
「まぁそうなんだけど俺知り合い少ないから今あいつ何してんだろって考える相手が限られてて。」
「それで私をストーキングすることで暇を潰そうと」
いつもの無表情なテンションで的確に嫌なところをついてくる。
「そ、そういうわけじゃ・・・」
「それなら私より白川さんを追えばいいじゃないですか。最近前にもまして仲良さそうですし!」
「なんでいま白川が出てくるんだよ。」
ていうかどちらかというと最近避けられているんですが。
「そ、それは・・・」
北本が珍しく返答に渋っているそんなときだった。
「あ、やっぱりいた!」
「「あ」」
聞き覚えのあるよく通る声。
「やっほーまさくん、しずくちゃん!」
声の主は佐々木だった。
「よお」
「来てるかなぁって思ったけどやっぱりいた〜」
「まぁ暇だしな。」
「え!?ちょっとしずくちゃん!めっちゃかわいい〜なにそれ〜〜」
「あ、ありがとうございます・・・」
北本が褒め殺しにあっている。北本は案外照れるとすぐ顔に出る。
「クイズって聞くとなんか合宿を思い出すね!」
「な」
確かにこの会場の雰囲気は学習合宿のクイズ大会を彷彿とさせる。
「あ、まあく〜ん!」
さらに聞き覚えのある声。
「げ、またあんた女子に囲まれて」
順と刻もクイズ大会に参加するようだ。
「あとはかおりんが来れば完璧だけど。」
佐々木の言う通り、あとは白川さえ来れば全員集合なんだが・・・。
「たしかシフトは空いてたけど来るかなぁ。」
「今連絡したらすぐ来るって。」
なんて思っていたのもつかの間、刻がもう連絡したらしい。
「あ」
メイド服姿の白川が急いで入ってきた。
一部の視線を集めながら手を振る佐々木に気づいた白川がこちらに向かってくる。
「かおりんかわい〜〜」
白川と北本の格好に女子たちで盛り上がってる。
しかし俺はそういや白川と今微妙な関係になっていたことを思い出し、さてどうしたもんかと思いながら集団から少し離れ眺めていた。
「あーあー」
マイクのテストの音が響く。どうやらもうすぐ始まるらしい。




