114. 定期的に来るラブコメ要素
「終わったーー・・・」
「お疲れ様でした!」
何時間ミシンを使っていたのだろうか。昼から作業を始めたのに外はすっかり日が落ちている。
「おつかれ。てか悪い。明らかに俺遅かったよな。」
凝った肩を回しながら白川に詫びる。
「いえ、おかげで本当に助かりました。ひとりならおそらく明日までかかっていたでしょう。」
本当か?と思ったが追求するのは誰も得しないだろう。
「もうこんな時間ですし、うちでご飯食べていってください。」
「いやいや、それは悪い。もう帰るよ。」
「遠慮しないでください。」
「いや、ほんとに・・・」
と言い切る前に白川は部屋から出ていった。
えぇ・・・まじで悪いな。勝手に手伝いに来ただけなのに。しかも女子の家でご飯を食べるなんてなんか気恥ずかしいわ。
・・・ふあー。眠い。
さっきまでの緊張の糸が切れたせいた途端に眠気が襲ってきた。
さすがに夜ご飯まで世話になるのは申し訳ないが眠いせいで断りの台詞が何も考えられない。
・・・。
なぜか白川は帰ってこない。
まぁいい。白川が帰ってきたらどうにかして断ろう。
だからそれまでは少し寝っ転がらせてもらうことにしよう。
「今お母さんに電話したらもう少しで帰ってくるって・・・あら、寝ていらっしゃるんですか?」
ああ・・・白川が帰ってきた・・・ような・・・。
・・・。
・・。
・。
「ん・・・」
白川は帰ってきたのだろうか。
「ん」
そりゃ帰ってきてるか。俺は何分寝てしまったのか。そんなに長くは寝ていないと思うが・・・。白川はどこだろうか・・・。
「ん?」
目をこすりながら俺は頭に違和感を覚える。
さっきまでこの床こんなに柔らかかったっけ?なんかほんのり温かいし、それになにか知らないが頭を撫でられてる感覚が・・・
「あ、お目覚めですか?」
「うぉ!?え?ちょ。」
「あぁっ、そんなに動かないでください。痛いです。」
白川はそういって自分の膝を撫でる。俺の頭が乗った膝を。
「ど、どうすれば・・・。」
「・・・どうです?今日のお礼になりました?」
視界の大部分を占めるふくよかな胸越しに白川と目を合わせる。
「どうって・・・」
寝起きの頭ではただでさえまともに思考できないのこの状況ではさらに何も考えられない。考えられないので動くことも考えようとする努力もやめた。
「なにか言ってくださいよ。」
「・・・まぁ、悪くない、かも。」
「・・・結構恥ずかしいですね、これ。」
白川ははにかみながら手でぱたぱたと顔をあおぐ。
その顔を見て俺も恥ずかしくなってきたので思わず目線を外す。
「あ」
しかしその視線の先には水色の布があった。
「あ、そっちは向かないでください!」
慌てた白川が突然立ち上がる。
「痛っ!」
当然支えを失った俺の頭は床に叩きつけられる。
「あっ、あっ!ごめんなさい!」
「いてえ・・・もお急に立つなよ・・・」
「ごめんなさい・・・って斉藤くんがパンツ見るから悪いんですよ!もう・・・えっち」
「・・・。」
さっき白川はこの部屋に下着はないと言っていたが、どうやらその時自分の履いている分は勘定に入っていなかったようだ、なんて気持ちの悪いことがなぜか頭に浮かんでしまった。
「ただいま〜」
「あ」
「あっ、母が帰ってきました。」
少し頬を染めた白川は玄関に向かって部屋を出ていく。
白川ママが帰ってくる前に退散する気でいたのになぁ・・・。
白川が部屋にいなくなってひとり後頭部を撫でる。
恥ずかしいならしなきゃいいのに。
あいつ、なんか時折すごい大胆なことをするから怖いわ・・・・・・




