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俺だけがいる世界  作者: 北野こち
第8章 間違う季節の過ごし方
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103. こういうスキルが異世界に転生した時大活躍する



 「みんなの進捗をチェックする?」

 「はい。予定にそこまで余裕がないのでみなさんの進み具合を見ておきたいんです。」

 戸惑っている俺を無視して白川はなんだかどっかで見た気がするような表を渡してくる。

 「みなさんに進捗を確認して名前の横にチェックをつけてください。」

 「え、もしかして俺が積極的にコミュニケーションを取らないといけなかったりする?」

 「そういうの得意ですよね?」

 にやにやしながらそんなことを言ってくる白川。

 「どこがじゃ、むしろ一番嫌いだわ。」

 「ふーーーん・・・。さっきはなんだか楽しそうに話してたみたいでしたけど?」

 今度はじとっとした目で見てくる白川。

 「いや、あれは・・・」

 「あれは?」

 「・・・。」

 「任されてくれますよね。」

 「ずりーぞ。」

 こういう風になった白川には何を言ってもだめだ。俺は観念して紙を受け取る。

 「お願いしますね。」

 「わかった、わかったからちょっと・・・」

 しかしそうなると新たな問題が出てくる。

 「なんですか?」

 「・・・誰がどの名前かだけ教えてくれない?」

 「・・・・・・」

 白川は心底呆れていた。


 

 いない人たちを除く10数人の名前を頑張って覚え、端から1人ずつ聞いていく。

 「進捗のほどはどうですか。」

 よし第一声はこれで行こう。

 「・・・あの、その、進捗は、どうですかね・・・」

 「うわぁ。何よ急に。」

 「あっ、えっと」

 「ああ、斉藤か。今のところ大丈夫よ。」

 「・・・どうも」

 ・・・満点のやりとりができたと言えるだろう。


 

 この要領でスムーズに全員の進捗具合がわかった。一応それなりに頭が良い学校だからか大多数は問題なく作れているようだ。

 しかし・・・。

 「どう、できてる?」

 「さっきまでの挙動不審はどこに行ったんですか。」

 見られていたのか。

 「そりゃお前だからな。ところで大丈夫か?」

 「ええ・・・」

 「・・・まぁなんかあったら聞いてくれ、白川に。」

 「そこは俺にって言うところじゃないんですかね。」

 「俺はいつでも予想の上を行くからな。」

 「下の間違いでは。」

 「うるせえ。」

 そう、意外な人が手こずっていた。どうせ北本だから大丈夫だろうと思っていた俺だったが、料理と言い裁縫と言い、もしかしたら北本は手先があまり器用ではないのかも知れない。いつもなら誰よりも優秀な北本だが、メイド服製作においては周りに遅れを取っていた。


 

 「というわけなんだが。」

 「そうですか・・・。」

 放課後、みんなの進捗をまとめた表を見せながらこのことを白川に報告する。

 「そうですね、今はまだ大丈夫かも知れませんがこれからの工程を考えると・・・」

 「お前がつきっきりというわけにも行かないか・・・」

 「ええ・・・。」

 さっきまでの喧噪が去った教室で俺と白川はうなりながら表を眺める。

 「ごめんね、わたしがもっとお裁縫できたら良かったんだけど・・・。」

 「いえいえ、私が至らないばかりに。」

 一緒に残っている委員長も同様に表へ目を落とす。

 「なぁ、これからの作業はどれくらい難しいんだ?」

 「難しいというより手間が増えるので時間がかかる人はとても時間がかかってしまうかもしれないんですよね。それにミシンも使うことになるのでミシンの使い方になれるのにも時間がかかるかもしれません。」



 ・・・なるほど。つまり人が足りないだけってことか。

 「お前は使えるんだよな。」

 「ええ一応。」

 なら簡単な解決方法がある。

 「なら使い方俺に教えてくれないか。」

 「「え??」」

 白川と委員長の声がハモる。

 「いや、だって俺やることねえもん。今やってることって窓際社員だろ。北本のを少し手伝えるくらいでいいから裁縫の基礎を少し教えてくれよ。」

 「・・・・・・。」

 2人は顔を見合わせる。

 「経験ないんですよね?」

 「ああ、だからまぁどこまでできるかわかんねえが・・・」

 実際初めてやることなのでなんの自信もないが、やってみなくちゃわからない。そんな気持ちを込めて白川の目を見つめる。


 「ふふふ、やっぱり斉藤くんはなんだかんだでいつも優しいんですよね。」

 白川がほほえむ。どうやら案は採択されたようだ。

 「わたしさいとーくん見直しちゃった。」

 「別に俺も喜んでやるわけじゃねーぞ。雑務とかいうよくわからない役職にかこつけて拘束されてるから暇なんだよ。」

 そういって視線を外す。

 「ふふっ、まあそういうことにしておきます。」

 しかし白川には軽くあしらわれる。

 「で、どうなんだよ。教えてくれんのか?」

 「ええ、もちろん!」

 「明日からはとりあえず私が持っている裁縫の本を読んでいてください。時間があったら少しずつミシンの使い方を説明したいと思います。」

 「悪いな。もとから忙しいのに。」

 「いえ、きっとこの忙しさも斉藤くんが解消してくれると思うので。」

 「あんま期待すんなよ。」

 「いえいえ、期待してます!」

 そんなわけでどういう縁か俺も裁縫を勉強することになった。これまで一度も触れたことのない分野の挑戦ではあるが不思議と面倒とか嫌とかそういうネガティブな気分はなかった。

 なにより色々なスキルを身に着けておくのは万が一異世界に飛ばされた時役に立つからね。

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