‛九七団長事件’
「――魔王という人類共通の敵が存在しなくなったことが、大きく作用しているのでしょう」
ヘクトルの表情が一瞬にして曇った。
魔王さえ倒せば世界は平和になる。――そう信じて戦って来たというのに、今の惨状はそんなかつての信念さえ否定するものだったのだ。
「特に我が国では問題が顕著ですね。ご存じの通り、トゥルヴィアは魔王領と直接接地していない唯一の国家です。現在パリス副宰相が中心となって魔王領に飛び地的な開拓拠点を設けていますが、やはり隣国ミュケネスとの衝突は避けられません。開拓地では日に日に小競り合いが増え、関係悪化はもはや無視できない状況かと」
ヘクトルは難しい顔で唸った。そもそもトゥルヴィアが人間領一の大国たりえたのは、魔王領と接していなかったがために安全な交易ルートや領地を多く所有できたから、という要因が大きい。魔王領が脅威でなくなり、むしろ潤沢な資源の宝庫となった今では、接地していないということが逆に大きな不利となる。
「……それから、もう一つ。国家間の関係悪化に伴い、民衆の間でも悪質な噂が飛び交っています。それに伴って沈静化したはずの‘九七団長事件’の蒸し返しなど、意図的にミュケネス共和国に対する反感を煽っていると疑わしき動きもあります。特に、衝突のある開拓地ではそれが顕著です。むしろ私としては、こちらの方が警戒する必要があるかと」
一連の話がよく理解できなかったのか、傍で聞いていたチコは唯一知っている‘ミュケネス’という言葉に反応した。
「ミュケネスって、エピウ様のいるところですよね? 私は好きだけどなぁ……」
「そうね。小さな国だけど、豊かな教養と文化のあるところね。私も好きだわ」
「あーん、エピウ様にまた会いたいなあ。元気かなあ?」
わざわざ好物のパスタを巻き取る手を止めて、チコが懐かしげに呟く。
エピウ=トロイオン――過去最年少で最高位魔術師の資格を取得した、兵団史上きっての才女。年齢が近かったために、チコはエピウのことを実の姉のように慕っていた。
「あの子には何度か会ったけれど、元気みたいだったわ。今は王室魔導騎士団の長を務めるぐらいですもの」
「騎士団長!? すごい! へっへ~、さっすが私のエピウ様!」
「あれだけの魔導の才に、広い知識と慈悲を備えた傑物だ。未だ若く出自の凶事があるとはいえ、十二分にその器だろう」
ヘクトルは珍しく相好を崩した。その声には、娘を自慢する父親のような響きがある。
「んふふ~、私、絶対エピウ様みたいになるですよぉ!」
「志が高いのは結構だが……エピウがお前ぐらいの歳には、自分の服をソースで汚したりはしなかったぞ」
チコは一瞬だけ恥じ入ったように唇を曲げ……数秒後にはけろりとした顔で再びパスタを食べ始めた。
「しかし、エピウの件もそうだが……離れているとはいえ、こちらに何の情報も入ってこないとはな……」
「無理もありません。……距離の問題以上に、巧妙な情報統制がなされていますから」
意味深なもの言いに、ヘクトルは大方の事情を察した。
「……それが、お前がここへ来た理由か?」
「副宰相・パリス=ロア=ヴァレングルシア――あの男は脅威です。トゥルヴィアにとってだけではなく、全国家にとって」
テレジアは隠すことなくその名を口にした。
「……滅多なことを。言い切るだけの根拠はあるのだろうな?」
その問いに対し、テレジアは頷くよりも先に述べ始めた。『判断は委ねる』、ということなのだろう。
「議員登録がなされたのは九年前。元々若手層を中心に支持者を増やしていた議員ですが、最初期から勇者召喚支持を大々的に掲げていた影響で、勇者による魔王討伐後一気に発言力と支持者層を増やしました。勇者への主戦力移行に伴う大幅な減税と、一般市民への参政権の迅速な膾炙、加えて娯楽施設増設などの政策で民衆の支持を集め、先導して行った商取引の自由化で商会組合も手なずけました。評議会議員の大半も掌握しています。現在は事実上、トゥルヴィアにおける魔王領開拓地運営の一切を取り仕切っている男です」
「相当な敏腕というわけだ。……出自は割れているのか?」
「現時点でわかっているのは、故・ロア=アルヴェール=ヴァレングルシア伯爵が婿養子として迎え入れたということだけです。妻はロア侯爵の一人娘であるイライザ嬢。ご子息は男児が二人で、六歳と三歳ということです。……ただ、元々の出身や婿入りの経緯などの情報はことごとく抹消されていました。それも、恐らくはパリス副宰相本人ではなく、ロア伯爵の手で」
「……お前を以てしても、情報はそれだけか……」
ヘクトルは微かに唸った。
「……なるほど、確かに不気味ではある。が……傑出した才覚が支持されることは道理とも言える。それに、ロア伯爵は戦乱時のトゥルヴィアを支えた人格者だ。かつての‘九七団長事件’の際には、事態収拾のために尽力してくださった。その方の選んだ子息を悪人と決めつけるのは尚早にすぎると私は思う。疑心暗鬼を生ず、という言葉もあるではないか」
「そうですね……伯爵は他国との交友関係の広い稀有な知識人でした。彼がおかしな目論見を企てていたとは考えません。……けれど、あくまでロア伯爵とパリス副宰相は別人です。どうか、それをお忘れなく」
明確に対立してしまった意見。内容は理解できずとも、ぴりぴりとした空気を感じ取ったチコは、交互に二人を見比べる。
「……率直に伺います。パリスについて、どうお考えですか」
それは余分な修飾を排除した、真正面からの問いかけ。
ヘクトルは少しの黙考の後、口を開いた。
「……開拓競争は確かに問題だ。だが、副宰相の方はどうか。聞いている限りでは、民主主義に則った正当なやり方をとっている。税金の減額や参政権の拡大、商業の自由化も、みな大衆の民意に沿ったものだ。兵団関係者の辺境配置は我々にとっては苦境ではある。が、若者による新しい国造りとして見れば筋も通っていよう。……パリス副宰相が若い新たな世代を担う逸材であることは確かだ。我々老人が頭ごなしに否定するものではない、と私は思うが」
テレジアは返答を受けしばらく黙り込んだ後に、小さな溜め息をついた。
「柔軟なようでいて、やはりあなたは頭が固い。……確かに、国民の権利の拡充は陛下の意思でもあります。民主主義への移行は国の方針として前々から固まっていました。でもそれは、三十年かけて行われる予定だった。だというのに、魔王討伐後、パリスの手によってたった三年で急速な民主化が進んでいます」
「……それに何の問題が?」
「おおありです」
きっぱりそう断じると、テレジアは子供に諭すように一つの例え話を持ち出した。
「団長、あなたは兵士を育てる時、『いずれ使うのだから』といきなり大剣を渡しますか? 『どのみち数年後には魔物と戦うのだから』と最初から戦場に放り込みますか?」
「有り得ぬな。良い兵士を育てるならば、順序はとても大切だ。基礎を積み重ねることが、何よりの近道だ」
ヘクトルが素直に答えると、テレジアは我が意を得たりと首肯した。
「政治も同じです。ただ主権を国民に返還するだけでは意味がないのです。民主化するのならば、平等に参政できる‘制度’と、相応の政治的な‘教育’が不可欠。限られた市民しか参政できなかったり、教養不足により誰もが自分の利益だけを求めて政治を行ったりすれば、国はあっという間に崩壊します。三十年という期間は、国民が正しく政治を行えるよう最低限の基盤作りをするための時間として設けられた猶予だった。
……ですが、パリスは政治的教育には無頓着です。学校設立のための資金を劇場や賭場の設営に回し、知識の代わりに娯楽を与えるだけ。扇動しやすい蒙昧な国民に作り変えた上で、上辺だけの権力を与えているのです。国民すべてを自身の傀儡にするため、意図的に衆愚へと誘導しています」
話を聞いたヘクトルは、なるほど、と一つ頷いた。
「確かに、それは由々(ゆゆ)しき問題だな。……だが、それならばなおさら、このような場所で私に訴えるのではなく、きちんと議会に提出し教育施設の充実を訴えるべきだ。国民や議員もきっとわかってくれるだろう。権威を保証するのは正当な手続きのみ。国を守るという名目であれ、指導者たるお前たちが議会や国民の決定を疑い否定しては、それこそ本末転倒ではないか」
と、ヘクトルとしては正論のつもりだったのだが、結果は呆れ顔を向けられるだけだった。
「……まあ、言うだけ無駄ですね。あなたは意固地なまでに形式や手続きを重んじる人でしたから。……まったく、戦闘では目茶苦茶な癖に……」
「……わ、私の戦い方は変なのか?」
「変とは言っていません。目茶苦茶だ、と言ったんです」
不安げな顔のヘクトルに、テレジアはぴしゃりと言い放つ。それから、ふと思い出したように切り出した。
「そうそう、戦闘についてですが……もう一つお話があります。女王陛下があなたから預かっていた得物を返還したいと申しております」
「団長の武器ですかぁ!?」
新たな話題に子犬の如く飛びつくチコ。政治の話が終わりようやく自分のわかる話題に移ったのがよほど嬉しかったらしい。
「それって、『無名』のことですよね!! ねっ?!」
「……何度も言っているが、大層な名前をつけた覚えはない」
いさめるヘクトルの顔には、僅かに恥ずかしげな表情が浮かんでいる。
「えー、みんなそう呼んでますよぉ~!? 団長が直々に鍛えた無敵の大剣『無名』! 重すぎて普通の人じゃ持つことすらできないって! かっこいいじゃないですか~」
「好きで作ったのではない。支給品では規格が合わなかったから、自作するしかなかっただけだ」
「ほぉら、やっぱり! ……でも、なんで陛下に預けちゃったんですか~? 私、まだ実際に使ってるとこ見たことないのにぃ……」
「あれは……」
と、ヘクトルは珍しく言い淀む。
「……あれは、魔物と戦うための武器だ。もう必要ないだろう」
チコは「ふうん」と残念そうに唇をすぼめた。
「ヘクトル様だけにしか使えない大剣って、なんかかっこよかったのになぁ……」
「大きな武器を扱えることなど自慢にはならない。目先の大小にばかりとらわれるのがお前の悪い癖だ。……現に、神樹の勇者様の剣は――」
「もー! また勇者様の話をするー!」
いつもの調子でお説教を始めたヘクトルを、チコがふくれっ面で遮った。
本日三度目となる勇者の話題。しかもそれがヘクトル自身の口から出たのが気に入らなかったのだろう。
「勇者様がいなくったって、きっと兵団のみんなが協力すれば魔王を倒せてましたよぉ!」
怒りに任せ、チコの声は自然と大きくなる。といってもここは酒場。元より騒がしいのだから、大した問題ではない……はずだったのだが、どうやら内容がまずかったらしい。
「――おいおい、お嬢ちゃん、やけに威勢がいいねえ」
チコの声を聞き咎め割って入ってきたのは、真っ赤な顔の酔っ払い。寄ってくる足取りもおぼつかないことから、既に相当できあがっていることが伺える。
「申し訳ありません、お騒がせいたしました……」
「おいおいおっさん、俺はお嬢ちゃんと話してんだよ! ……なあお嬢ちゃん、今なんて言った? 勇者様抜きでも兵団が魔王を倒せてたってえ?」
咄嗟に詫びるヘクトルを制して、酔っ払いはゲラゲラと笑う。
「はーっはっはっは! おもしれえ冗談だぜ! 魔王討伐なんざ、あいつらにゃ千年経っても無理ってもんよ! あの穀潰しの能無し集団にはな!」
どうやら話している相手がその元兵団員であることに気付いていないらしい。が、それがわかったところで、面と向かって嘲笑されて黙っていられるほどチコは我慢強くなかった。
「むうっ!? なんてこと言うんですかぁ!? 訂正してくださいよぉ! て、い、せ、い!」
「あぁん? 嬢ちゃん、妙につっかかるな!?」
いよいよ喧嘩腰になる酔っ払い。
見かねたヘクトルは、やや語気を強めていさめる。……けれど、それが余計な厄介を招くこととなった。
「……チコ、いい加減にしなさい」
「でも、でも、ヘクトル団長だって――」
言いかけて、チコはハッと口をつぐむ。だが時すでに遅し。
「……あぁん? ‘団長’だあ?」
耳ざとくも聞き逃さなかった酔っ払いは、ずかずかヘクトルへ詰め寄ると、強引に被っていたフードをはぎ取った。そしてまじまじと顔を覗き込んだ後、眼をかっと見開いて叫ぶ。
「こっ、こいつ! 元連合兵団長のヘクトルじゃねえか!!!」
酔っ払いの大声に、酒場中の視線が集まった。
「てめえ、地方にとばされたって話じゃねえのかよ! 王都までなにしに来たんだ? あぁん? 乞食にでも転職かあ?!」
「し、しし、失敬な! 女王陛下に呼ばれたんですっ! 直々の御指名で野盗退治に――」
「チコ!」
ヘクトルを馬鹿にされ、思わず口を滑らせるチコ。野盗退治という言葉を聞いた途端、酔っ払いは我が意を得たりといった顔で意味深な含み笑いを始めた。
「はっはあ~ん、野盗退治ねえ、なるほどなあ。……へへっ、俺は知ってるぜ! その野盗ってのもあれだろ? あんたの元部下のエリオスなんだろう!? 街中で噂になってるぜ。大方、手柄が勇者様にとられちまったのが気に入らなくて暴れてるだけなんだろう? ったく、逆恨みもいいところ、迷惑ったらねえなあ! お前だって、結局はてめえの汚したケツをてめえで拭きに来てるだけじゃねえか! それを恩着せがましく言うんじゃねえよ!」
「恩着せがましくなんて言ってないじゃないですかあ!」
「うるせえうるせえ、年長者に口ごたえするな! 第一、お前ら兵団だって元々盗賊と似たり寄ったりのろくでなし集団だろうが! 高い税金巻き上げる癖して、魔王一匹殺せやしねえ! 昔っから穀潰しの役立たずだったよなあ!」
「そんなことないですよぉっ! 私たちだって、頑張って魔物と戦ってましたよぉ!」
「戦うだあ? ふん、そいつはぽこぽこくたばって税金をドブに棄てることを言うのかあ?!」
チコの言葉をせせら笑った酔っ払いは、それからふと何か思いついた様子で口角を上げた。
「い~や、それともあれか? お嬢ちゃんが言う戦いってのは、‘九七団長事件’のことかなあ?」
その単語が出た途端、チコの表情がこわばる。
酔っ払いは今が好機と畳み掛けた。
「腐った兵団が何をしでかしたのか……ここにいるみーんな覚えてるんだぜ! 忘れちまったってんなら教えてやるよ! 第九十七代団長‘コウニア=トロイオン’――あの先々代の糞野郎はなあ、俺たち一般人を魔物と戦う操り人形にしたんだぜ! 卑劣な魔法を使って、無理矢理なあ! こんなひでえ話があるかよ!? 女も、子供も、じじいもばばあも、みーんなだ!! 何が『人類の盾』連合兵団だ! とんだ裏切り者だよ、お前たちはな!」
「で、でもそれは、三十年も前のことで……へ、ヘクトル団長には関係ないですよぉ……」
必死で言い訳をするチコの声も、酔っ払いの怒声にかき消されてしまう。
「関係ないじゃ済まねえんだよ! そりゃ奴が操ったのは鼻もちならねえミュケネス人だ。だからそれ自体はどうだっていい。けどな、そんな外道を平気で見過ごしちまう兵団が信用できねえんだよ! 身内の管理もまともにできねえ奴らにゃ魔王討伐なんざはなっから無理だったってこった!!」
酔っ払いの口調はひどく乱暴だが、同時にすべて事実でもある。言い返せなくなったチコは口ごもりながら俯いてしまう。
「……だって……みんなのために戦ったんだもん……」
「はんっ、まーたそれかよ。剣振り回すのがそんなに偉いか?! まっ、嬢ちゃんはきっとこう思ってんだろうな! 『私たちが護ってやったのに』ってよお?!」
「べ、別にそんなこと……」
「じゃあ聞くがよ、その剣は誰の金で買ったものだ? 兵団おそろいの服は? 大きな兵舎は? 毎日の飯はどうした? ……みーんな俺たち平民から巻き上げた税金で買ったんだろうが! 剣振り回すだけが戦いじゃあねえんだよ! 俺たちだってずーっと戦ってきたんだ! てめえらに腹すかせた倅をあやす惨めさがわかるか? せっせと作った米や野菜を横から掻っ攫われていく気持ちがわかるか? お前らだけが戦っていたと思ってんならなあ、そいつは大間違いだ!!」
酔っ払いの言葉に、チコはもう押し黙るしかなかった。
「その点、勇者様はすげえよ。何百年も税金巻き上げるだけだったお前らと違って、たった一人であっちゅうまに魔王を倒しちまった! それからあのパリス様だ! あの人は勇者様が現れる前から一生懸命俺たち国民のために働きかけてくれた! 意見する自由や娯楽をくれた!」
酒場のあちこちでは、酔っ払いの言葉に賛同するかのように頷く者がいる。
「はっきり言ってやる。お前ら役立たずの兵団の名誉だの誇りだの、どうでもいいんだよ! 俺たちの英雄は勇者様と若宰相だ。あんたらの時代はとっくに終わってんだ!!」
酔っ払いがそう言い切ると、ぱちぱちと拍手が起きた。
酒場を支配する異様な雰囲気。チコたち三人はまるで処刑台に上げられた罪人の如く、棘のある視線にさらされる。
そしてとうとうチコの眼に大粒の涙が煌めいた時、ずっと黙していたヘクトルがゆっくり立ち上がった。
「な、なんだよてめえ……も、文句でもあんのかよぉ!??」
物静かな動作だが、二メートルを越える巨体が発する威圧感に、酔っ払いは思わず後ずさる。
だが、ヘクトルは声を荒げることもなく、ただ丁寧に陳謝するのだった。
「お騒がせして、大変申し訳ありません。……我々兵団が皆様に支えられていたことも、拭いきれぬ過去があることもみな事実。言い訳のしようもございません。……ただ、こちらにいるチコもまた、平和を願い兵団に志願したのも事実。若さ故に考えが至らぬところもあり、このような騒ぎを起こしてしまいましたが、それは偏に指導者としての私の監督責任にあります。どうぞ、責めを負わせるのならば、この老体にお願いいたします」
「……あ、ああ……まあ、わかってんなら、別にいいんだよ……」
先に土俵から降りられた形になり、怒りの矛先を失った酔っ払いはバツが悪そうに口ごもる。
その間に、ヘクトルは二人へ声をかけた。
「チコ、テレジア、そろそろ出よう」
そうして三人は、無数の冷ややかな視線を背中に浴びながら酒場を後にするのだった。