2ー4
ざわざわと騒がしい。
授業が終わり、教室内で帰りにどこへ行くかなど話し合っている。
「さくらー今日どっか行こー?」
「あー……。」
クラスメイトの誘いに躊躇っているさくら。
チラリとひまわりの方を見る。
目が合わない。
仕方ないか。
「うん、どっか行こっか。」
一人で帰宅するひまわり。
車道に面した側を見る。
いつもいるはずの彼女がいない。
「……寂しいな。」
思わず呟く。
間もなく自宅。
そんな時、一人の少女が目に写った。
透き通る白い肌。
きらきらと輝く金色の髪の毛。
宝石のような眩しい瞳。
一言でいってしまえば、おとぎ話から飛び出してきたお姫様のようであった。
この時期に引っ越しか。
珍しいな。
彼女を目で追うひまわり。
ゴツン。
「痛っ!」
響く鈍い音。
そのことに夢中になってしまい、電柱に頭をぶつけてしまった。
その場にしゃがみこむ。
恥ずかしい。
無様な姿を誰かに見られていないか心配であった。
しっかりと見られてしまっていた。
彼女が、ひまわりの方へ歩を進めて来たのだ。
「大丈夫ですか?」
小鳥のさえずるような美しく儚い声。
あぁ、恥ずかしい。
赤面するひまわり。
「大丈夫でしゅ……です。」
噛んでしまった。
恥の上塗り。
ひまわりは、消えてなくなりたかった。
腕が差し出される。
しかし、自力で起き上がるひまわり。
一刻も早くこの場から去らなければならない。
そのことだけが彼女の頭を支配していた。
軽く頭を下げ、ひまわりは駆け出していった。
その場に取り残される少女。
彼女の視線はひまわりの姿が見えなくなるまでひまわりのことを捉えていた。
「やっと見つけた……。」
次章
3ー1
2018年9月8日
投稿予定。