14ー2
聞かれた。
聞かれてしまった。
ひまわりの心臓が暴れだした。
よりにもよって、アリアに聞かれてしまった。
ひまわりがいじめられていた訳。
魔女の家に出入りしていたからだ。
つまり、アリアとの交流が直接の原因であった。
それを本人が知ってしまった。
「大丈夫だよ。」
ひまわりの耳へ囁き声。
それは、アリアのものであった。
「……ひっ!?」
耳から入ったそれは、脳へと届き、ひまわりの身体に鳥肌を立たせた。
それが恐怖からなのか、それともまた別の要因からなのかは彼女すらも分からなかった。
「……私が守ってあげるから。」
「あ、ありっち……?」
「……ねぇ、さっきからなに私のはっちに吹き込んでるの?止めてくれる?困ってるじゃん。」
ひまわりの耳元で妖艶に囁くアリアへの敵意。
今のさくらに取り繕う余裕などなかった。
「……あなたには関係のないことだから安心して。それとあなたのじゃない、私のだから。」
「お、おーい……。あんたらー遅刻するぞー?」
ひまわりの背後からの声。
彼女の母のものだ。
それはいつもと違い、少し遠慮しているようであった。
「はい、お義母さん。」
にっこり。
先ほどまでの喧嘩腰な雰囲気はなかった。
ひまわりの腕に自身の腕を絡ませるのであった。
「お前っ!はっち行こう!」
両手に花という言葉がある。
これは、本来嫉妬の対象となりうるものだ。
ひまわりの右にはクラスの中心的な存在であるさくら。
左には転校してきたばかりのハーフ美少女アリア。
まさに、両手に花という言葉がふさわしいだろう。
しかしこれは、本来なら、の話だ。
しかし、彼女らを、特にひまわりを見た者達は、決して楽観的な嫉妬心を抱けずにいた。
睨み合う二人。
そして、そんな彼女らに挟まれて身動きのとれないひまわり。
彼女に送られる視線は嫉妬などではない。
同情的なものであった。




