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甘いかおりの花蜜は苦い  作者: あさまる
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2ー2

二人が教室に入る。

幸運なことに、彼女らは二年間同じクラスだ。

しかし、二人に対するクラスメイト達の反応は正反対なものであった。


さくらには挨拶があるが、ひまわりには特にない。

その態度は露骨なものだった。

いつものことだ。


さくらは、内心不服に思いながらも皆に挨拶を返す。

一方ひまわりは、先ほどまでかおるを見ていた時と違い、無表情になる。

それは、通学路でさくらに見せていた悲しげな顔と似ていた。


何とかしたい。

彼女も教室で、自分と同じようにクラスメイト達の輪に入り、笑顔を見せてほしい。

さくらはそんなことを思っていた。



「それにしてもさーあんたも凄いねー。」

さくらへかけられた言葉。


「なにが?」


「いや、あの子よ。」

悪びれる様子もなく指を指す。

その先には一時限目の授業の準備をしているひまわりの姿があった。


比較的大きな声であり、隠す気のない彼女の行動。

当然ひまわりの耳にも届いてしまう。

聞こえないふりをし、俯いた。


「え、はっち……は、八原さんがどうしたの?」

なぜ彼女の名前が出てきたのか。

困惑するひまわり。


「幼馴染なんだろうけどさくらもお守り押し付けられちゃって大変だねってこと。」


「あー、大変そうだよねー。」


「さくらお疲れ。」


「え?え?」

何を言っている?

さくらは、クラスメイト達の言葉が理解出来ない。


疲れる?

ひまわりといると疲れる?

誰が?

「……何を……言ってるの?」


「いや、だから……。」


そこからは、さくらの耳には彼らの声は届かなかった。



「ごめんね……。」


「え?」


時は進み、昼休み。

いつもどおり、ひまわりとさくらは二人きりでいた。

人気のない旧校舎。

じめじめとした雰囲気。

生徒達が寄り付かないような場所。

そんな場所に二人はいた。


「……ど、どうしたの、はっち?」

急な身に覚えのない謝罪。



「……ひのっち、私といると迷惑だもんね。」


「そ、そんなこと……。」

さくらが言い淀む。


しまった。

やはり先ほどのことを聞かれていたか。


「ごめんね、ごめんね……。」


「大丈夫!大丈夫だから!」


私も一緒にいて楽しい。

それが言えれば良かった。

しかし、さくらには、そう続けることが出来なかった。


それを言ってしまえば、余計なことまで言ってしまうかもしれない。

彼女が秘めている思いまで溢れだしてしまうかもしれなかった。



「あれー?さくらじゃーん。」


「あ、ほんとだー。さくらおつー。」


ぞろぞろと教室へ入ってくる女子生徒達。

彼女らは、皆さくらと同じような格好をしていた。

制服を着崩し、派手な化粧をしている。



タイミングが悪い。

苦笑いのさくらであった。

次章

2ー3

2018年8月25日

投稿予定。

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