13ー1
「会いたかったよぉ……ひーちゃあん……。」
時は戻り、現代。
ひまわりの部屋にノックせずに入った少女。
そんな彼女は、妖艶で美しい笑みを浮かべている。
怖い。
彼女の笑みを見たひまわりの感想は、それだった。
「え、えっと……。日向さん?」
思わず後ずさりするひまわり。
そんな彼女を見て、アリアが目を見開く。
「ひーちゃんっ!私だよっ!アリアだよっ!」
悲しげに叫んだ。
ひーちゃん。
ひまわりへ向けられたニックネーム。
それは、聞き覚えのあるものであった。
そして、そんな呼び方をする同級生は、独りしかいない。
それに気づいたひまわり。
そんな彼女の胸中にある恐怖は、徐々になくなっていった。
「も、もしかして……ありっち……?」
恐る恐る言う。
「ひーちゃんっ!」
みるみる表情が変わっていく。
絶望から希望への移り変わりが目に見えるものであった。
ガバッ。
アリアは、ひまわりを押し倒すように抱きついた。
勢いをころせずにそのまま倒れ込む二人。
本当にあのアリアだったのか。
ひまわりは、名前だけ同じ別人だと思っていた。
小学生の頃、仲良くなった二人。
しかし、ある日アリアは、引っ越して行ってしまった。
当時のひまわりに、何も言わずに去ってしまったのだ。
その為、落ち込んでしまった。
自分がなにかしてしまったのではないだろうか。
「本当にありっちなんだね……。凄く綺麗になってて分かんなかった。」
「え?私が綺麗……?」
「うん、綺麗だよ。」
ひまわりの世辞ではない、本心の言葉。
「私ね、ひーちゃんに会いたくて……戻ってきたんだ。」
そう言うアリアの目尻には、うっすらと涙が見えた。
そんな彼女の姿に、ひまわりもつられて泣きそうになる。
時が巻き戻ったような感覚。
気になることはたくさんある。
しかし、ひまわりの口からは、それらの疑問よりも先に出てきた言葉があった。
「会いたかった……。会いたかったよっ、ありっちっ!」
「うん。私もっ!私も会いたかった……ひーちゃん。」
とうとう二人の目から大粒の涙が零れ落ちた。
しかし、彼女らの顔は、悲しげではなく、美しい笑みに染まっていた。




