10ー4
「……知ってた……んです……ね。」
「えぇ、そりゃあいつも目の前の公園であれだけ大声で言われていればね……。」
ふふふ、と笑うマリア。
怒っていないのだろうか?
その微笑みは、本心から来るものなのだろうか?
それとも、怒りからか?
どちらか分からないひまわり。
彼女の発言に続く言葉が出てこなかった。
「あ、あぁ。勘違いしないでね?別に貴女のことを怒ってるわけじゃないのよ?」
「……あぇ?」
思わず間抜けな声が出てしまったひまわり。
「それでもあの子と仲良くしてくれて嬉しかったの。」
「そう……ですか……。」
何て言っていいか分からないひまわり。
先ほどからずっとだ。
「だから、あの子のことこれからもよろしくね……?」
マリアがひまわりへ見せた、優しげな微笑み。
「は、はい……。」
ひまわりは、そう言うしかなかった。
自宅へ戻ったひまわり。
マリアと彼女の母が玄関先で話をしているうちに、彼女は自室へと籠りに行った。
すぐさまベッドへ飛び込む。
あんなに可愛い子でも虐められるのか。
天井を見つめるひまわり。
今の自分と同じ立場なのだな。
そう思ったのであった。
彼女はいつから虐められているのだろうか?
いつからこの苦痛を耐えているのだろうか?
逃げ出したくないのだろうか?
「……強いなぁ、ありっち……。」
ポツリ。
ひまわりから無意識に出た言葉であった。
あの小さな少女に、一体今までいくつもの悪意が向けられていたのだろう。
ひまわりは、自分と比較してしまう。
アリアには、友達がいない。
彼女の母であるマリアの言葉を信じれば、彼女は学校では一人ぼっちだ。
しかし、ひまわりは違う。
さくらがいる。
彼女がいてくれる。
それだけで、心の余裕が出来ている。
彼女に出来ることは何かないだろうか。
もし、彼女にも、さくらのような友人がいたらどうだろう?
少しでも、楽になるんではないだろうか?
それならば、彼女の友達になろう。
もしこの後、アリアに友達が増えていったとしても、彼女の一番の友人であり続けよう。
ひまわりは、そう決心した。




