10ー2
見るからに機嫌が良くなったアリア。
そんな彼女とは対称的に、冷や汗が止まらないひまわり。
それは、嘘をついてしまった罪悪感から来るものであった。
ひまわりにとって、幸か不幸か分からない。
しかし、アリアはひまわりに対し、なぜこんなに早く訪問したのかを、それ以上言及することはなかった。
「あの子にも家に来てくれるお友達が出来て嬉しいわ。」
微笑むマリア。
しかし、その笑みには先ほどの笑みとは違う意味が込められている。
ひまわりには、そんな気がした。
「他の友達は来たことないんですか?」
この言い方は恐らく失礼だろう。
幼いながらにそう感じたひまわり。
そんな彼女が、聞いてから後悔した。
「そうね、私が知っているあの子の友達は、貴女があ初めてよ、ひーちゃん。」
ニコッと笑うアリア。
ひまわりの発言に不快感はなかったようだ。
ひーちゃん。
それは、以前アリアと遊んだ時に、最終的に呼ばれたひまわりのニックネームであった。
数時間の談笑。
途中、言葉が詰まったり、無音の時間もあった。
しかし、概ね落ち着いた、和やかな空気が二人の間なや流れていた。
「ただいまー。」
帰宅を知らせる声。
アリアのものだ。
「あら、あの子帰ってきたわ。」
ニコニコと言うと、玄関へ向かった。
ポツンと取り残されたひまわり。
扉越しに聞こえる笑い声。
マリアの声だ。
アリアに何か話しているのだろう。
「……友達って誰かな……。」
ひまわりのいるリビングの扉を開けるアリア。
そんな彼女の寂しい発言であった。
「ど、どうもー……。」
苦笑いしながらのひまわり。
そんな彼女を見るや否や、ひまわりのお株を奪うひまわりのように眩しい笑みを見せた。
「ひーちゃん!」
ひまわりへ駆け寄るアリア。
西洋の人形のような美しい印象から、年相応な愛くるしい笑顔。
そのギャップに、ひまわりはときめいてしまった。
「どうしたの?遊びに来てくれたの?」
「……う、うん、そうだよ。」
嘘を重ねてしまった。
「な、なにする、なにする!?」
ぴょんぴょんと跳ねるアリア。
喜びを身体全体で表現していたのだった。
罪悪感。
それを忘れる為、今はアリアと全力で遊び、楽しもう。
そう心に決めたひまわりであった。




